肺炎以外の死亡原因と対処法が研究されてきたことで、今後は重症者や死亡者も減っていくかもしれない。

さて、日本では新型コロナの流行はいったん収束の様相を見せ、段階的に経済活動が再開されているが、今後第2波、第3波が起こる可能性がある。20年4月30日のCNNの報道によると、米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は、新型コロナウイルスの「第2波」が年内に起きる可能性について、「個人的にはほぼ確信している」との考えを示している。

たった2週間で元の状態に戻ってしまう

佐藤院長も、「緊急事態宣言発動時のような自粛ムードを一斉に解除すると、たった2週間で元の状態に戻ってしまう、というシミュレーション結果も出ています。再流行は簡単に起こると考えていいでしょう」と言う。

とはいえ、今世界が総力をあげてワクチンの開発を進めている。ワクチンが実用化されれば、第1波ほどの被害は起きないのではないか。

「ワクチンが実用化されるまでには、一般的には最低でも1年半から2年はかかると思います。年内には打てるようになるという報道も出ているので期待はしていますが、実際のところはわかりません。例えば2012年に見つかったMERS(中東呼吸器症候群)はいまだにワクチンができていないので、新型コロナのワクチンもこの先何年もできない可能性だってあるのです。ちなみに米国のファウチ所長も第2波は第1波より厳しいものになる可能性を示唆しています」

つまり、緊急事態宣言の解除後も、当分は引き続き感染予防に努めることが必要だ。具体的にはどんな予防策があるのか。

「重要なことは何も変わらなくて、まず手洗いですね。不特定多数の人が触ったつり革やエレベーターのボタンなどに触れた後、無意識に自分の目や鼻、口に触ってしまう『接触感染』が感染ルートとしては相当多いので、引き続き手洗いは徹底しましょう。

私も医師として日々患者さんに接しているので、人よりこまめに手を洗うようにしています。診察室の机の上に自動で出てくるアルコールの手指衛生剤があるのですが、これを一回の診察で2回ぐらい使っています。これから暑くなると、マスクを下げてしまったり、顔の汗を拭いたりなどして顔に触る機会が増えると思うので、より一層手洗いは大切になります」

また、これを機に痩せることやタバコをやめることも重症化リスクを下げるそうだ。今季は新型コロナの予防に努める人が多かったためか、インフルエンザの感染者数が例年より少なかった。あらゆる感染症を予防するためにも、手洗いは新しい生活習慣にしたほうがいいだろう。

佐藤昭裕(さとう・あきひろ)
KARADA内科クリニック院長
医学博士。日本感染症学会専門医。日本内科学会認定医。前東京医科大学病院感染制御部副部長、感染症科医局長。
(写真=時事通信フォト)
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