新型コロナは特効薬がまだ開発されていない

肺炎には大きく分けると細菌性とウイルス性の2種類があり、細菌性は抗生物質、ウイルス性は数は少ないが抗ウイルス薬で治療できる。インフルエンザは抗インフルエンザ薬を投与すれば良くなるが、新型コロナは特効薬がまだ開発されていない未知のウイルスのため恐れられているのだ。

そんな新型コロナウイルスの感染者には、軽症で済んだ人もいれば重症化したり死亡したりした人もいる。何がその違いを生むのか。

「20年4月24日に出た『The New England Journal of Medicine』という有名な医学雑誌で、新型コロナで重症化しやすい人の特徴(重症化因子)が発表されています。高齢(65歳以上)、肺疾患、心臓疾患、糖尿病、肥満、免疫不全(HIV患者、ステロイドや免疫抑制剤使用者、骨髄や臓器の移植をした人を含む)、腎疾患、肝疾患、喫煙などです」

また、子どもは新型コロナの感染率も死亡率も低いというデータが出ているが、1歳未満の乳児は逆に死亡率が上がるのだそうだ。

亡くなった志村けんさんは、ヘビースモーカーだったといわれている。
亡くなった志村けんさんは、ヘビースモーカーだったといわれている。(時事通信フォト=写真)

新型コロナによる肺炎で亡くなったコメディアンの志村けんさんは、ヘビースモーカーだったといわれている。そのことは、やはり死亡したことと関連性があるのだろうか。

「喫煙者は、何も診断されていなくても、CTを撮ると肺気腫や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など何かしらの肺の病気があることが多いです。志村さんの場合も、もしかしたら肺に基礎疾患があった可能性がありますね」

女優の岡江久美子さんも、新型コロナによる肺炎で亡くなった。岡江さんは19年12月に乳がんが見つかっており、20年1月末から2月中旬にかけて放射線治療を行っていた。

「岡江さんがなぜ亡くなったのかという根拠は少し難しく、リリースされている情報だけを見るとあまりがん治療とは関係がないように感じます。乳がんの放射線治療はごく表層に放射線を当てるだけなので、後ろの肺に影響があったり、免疫力が落ちるということはないんですよ。手術後ということと放射線治療後ということは、免疫力低下やコロナ重症化には直接的には関わっていないと思われます」

コロナに罹患した勝武士さん(右)は28歳という若さで亡くなった。
コロナに罹患した勝武士さん(右)は28歳という若さで亡くなった。(時事通信フォト=写真)

一方で、抗がん剤は免疫力を下げるため、確実にリスクになるそうだ。抗がん剤治療をしている人は、前述の重症化因子の中の「免疫抑制剤使用者」に含まれる。ただ、抗がん剤治療をしてから数年が経過している場合は関係がないという。

また、大相撲の高田川部屋に所属していた三段目の勝武士さんは、新型コロナによる肺炎で28歳という若さで亡くなった。勝武士さんは、「重症化因子」のうちの「肥満」や「糖尿病」に該当している。肥満の人はさまざまな生活習慣病を合併しているので、重症化のリスクが高かった。