マスク代を控除に含めるのは難しい

医療関係者だけではなく、人の身体に触れる理髪店や美容院、エステティックサロンなどでは、新型コロナウイルス感染症の拡大が言われる前から、施術をする側の人はマスクしていた。

医療費控除とは、実際に病気やケガをした場合の事後的な費用が対象とされているのであり、予防的な見地からの医薬品の購入費用は医療費控除の対象からは除外されてきた。

しかし、時代の変化とともに、予防に対する費用も医療費控除として認める流れがでてきた。平成28年度税制改正による「セルフメディケーション税制」の導入が最たる例だ。

が、セルフメディケーション税制の対象はスイッチOTC医薬品に限られており、そこにマスクは含まれていないし、薬品ではないので、医療費控除の対象とすることは難しいだろう。

政府は、本気で新型コロナウイルスの予防対策を考えるのであれば、1回だけアベノマスクを郵送して終わりではなく、定期的・継続的に、全国民にマスクを届ける仕組みを考案することも必要なのではないだろうか。

本当の意味での「コロナ予防」とは

今回は、「マスクは医療費控除になるのか」というテーマで色々と考えてみた。

医薬品ではないけれど、医療費控除として認められているものとしておむつを紹介したが、もうひとつ、医薬品ではないものを紹介しておこう。人工肛門に取り付ける糞便袋など(ストマ用装具)の購入費用だ。

最近になって、繊維業界などが洗って数回使用できるマスクを開発し販売にこぎ着けている。もし、さらに開発がすすみ、そのマスクは予防効果が絶大で、それを医療機関も認めるようなものが出来れば、医療費控除に該当するようになるかもしれない。

今までも、時代とともに医療費控除の解釈は拡大されてきたことを思うと、可能性はゼロではないのかもしれない。

昨今、何処へ行っても、除菌除菌と叫ばれているが、霊長類は無菌状態でないと生きながらえることができないのだろうか。

これからは、ウィズコロナの時代を迎えることになる。

悪いものとして排除するのではなく、本当の予防は、それに耐えうる強靭で柔軟な身体を作ることなのではないだろうか。

各省庁は、新型コロナウイルス対策として様々な助成金や補助金の支給を行っている。

次に打つべき手は、やはり予防対策だろう。予防のためのワクチンが開発されれば、もしかすると、それは、医療費控除に該当することになるかもしれない。

第2波に備えて、自分が新型コロナウイルスにかかっているかもと不安に思っている人が、自己負担せずとも検査を受けることができるような仕組みをつくることこそが、本当の意味での予防であり、国を挙げて取るべき施策なのではないかと思っている。

※編集部註:2020年6月19日、マスク代を医療費控除に含めることができるか麴町税務署に問い合わせたところ、「予防のためのマスクの費用は医療費控除に入らない。ただ、医師から感染症の診断を受け、“治療”のためにマスクが必要という旨が診断書に書かれていれば、医療費控除に入れることができると考えられる」との回答があった。ただし、税務署の回答は公式見解ではない。

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