新型コロナで資産の4分の1を寄付した億万長者

前述の政策研究所のリポートが触れている資産増の物語は、“コロナ後”のそれだけではない。2008年9月のリーマン・ショック後も、2010年から2020年までの間に、米国の億万長者の資産は80.6%増加。金持ちがいっそう金持ちになっただけというミもフタもない話だが、さらにバブル時の1990年から2020年の間の資産増加は1130%という。100人の村の富豪6人と“残り94人”との格差は開くばかりだ。

ただし、億万長者が富を社会に還元しようとする動きはもちろんあって、先のフォーブス誌には「2095人のビリオネアのうち、少なくとも77人が何らかのアクションを始めた」として、2018年の億万長者の寄付金額ランキングも併せて掲載されている。

この3カ月で突出した規模の寄付金を出したのは、ツイッター共同創業者・CEOのジャック・ドーシー氏(43歳)。4月に新型コロナ対策の基金として総資産の4分の1に相当する10億ドル(約1100億円)の私財を拠出、注目を集めた。

2015年に「人類の最大の脅威はミサイルよりウイルス」と断言したビル・ゲイツ氏の、新型コロナ対策に関する活動も目立った。新型コロナ絡みでは、何かと陰謀論のターゲットとされている同氏だが、2月に世界最大のチャリティ基金団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」がコロナ対策に最大1億ドル(約110億円)を拠出することを表明。さらに4月には1億5500万ドル(約170億5000万円)の寄付を発表している。

寄付で格差は解決しないといえば、その通りではある。しかし、私財を投げうっての社会貢献は、まずは賞賛されてしかるべき行為ではあろう。何より、突然降ってわいたような世界的な災厄を契機に、内外に何を行動で示したかは、その億万長者の懐具合以上に、リーダーとしての「器の大小」が問われることになるようだ。

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