これが僕の考える中国批判のロジックだ

橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)

(略)

フェアの思考とは、自分のこれまでの主張に矛盾しない、相手への主張である。つまりそれは、自分のこれまでの主張を固めることにもつながるのだ。

「あなたにもそれを認めるのだから、私にも同じことを認めてくれ」

これがフェアの思考の神髄だ。

この観点で、香港問題に関する中国への批判メッセージの骨子を組み立てると

1、アヘン戦争によって香港がイギリスに奪われた経緯については、中国に同情する
2、一度奪われた領土を、軍事力の行使なく奪い返した中国の並々ならぬ努力、戦略、知略、胆力には敬意を表する
3、香港が中国の主権に服することは最大限尊重する
4、中国が香港版国家安全法の導入にあたり、国内ルールに基づいていることも尊重する

ここまでは中国の対応を認めなければならない。中国が嫌いだからといって、すべてを否定するのはアンフェアの思考だ。

(略)

「内政干渉するな!」と主張する武器を持とうとするなら、自分も内政干渉をしない。これがケンカの鉄則である。

ただし以下の項目からはフェアの思考に基づく中国への有効な批判メッセージとなる。

5、国民が非暴力・非武力で政府に抗議をするのであれば、政府はそれを軍事力や武力・暴力で鎮圧するのは止めろ
6、あくまでも犯罪的な国民の行為についてのみ、警察的な措置を執り、司法手続きで対応せよ
7、警察的な措置、司法手続きについては、世界各国の標準をしっかりと参照せよ

この5と6は、どんな体制の国に対しても主張できるものである。これらによって、1989年の天安門事件もきっちりと批判ができる。

(略)

香港問題によって、脊髄反射的に中国を批判した日本の政治家たちには、しっかりと脳みそに汗をかいて、中国から簡単に反撃を食らわないロジックを組み立ててもらいたい。

(ここまでリード文を除き約2700字、メールマガジン全文は約8200字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.204(6月16日配信)の本論を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【実践版 フェアの思考(3)】香港「国家安全法」問題で中国を批判するための7つのステップ》特集です。

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