中国国内で合法的につくられる香港版国家安全法をどう批判するか

今回問題となっている香港版国家安全法は中国全体の法律として、香港基本法18条に基づき同法付属文書3に加えられ、香港に適用する形を採るようだ。

そして中国のこのやり方に関しては、香港版国家安全法が香港の自治権を侵害するか否かが大争点であり、中国を批判する者は「香港の自治権侵害だ!」と主張する。

この争点に関し色々な意見が出ることはいい。しかし最終の解釈権は誰が持っているか。

上で述べた通り、香港基本法158条は「香港基本法の解釈権は中国全人代常務委員会にある」と定めており、この規定を根拠に今回、中国全人代は香港版国家安全法の導入を決定したのである。

(略)

このように中英共同声明や香港基本法をきちんと読めば、中国全人代が、香港版国家安全法の導入を決定したことを批判するには、かなりの理屈を考えなければならないことが分かる。

日本の政治家には、脊髄反射的に中国を批判した者が多いが、彼ら彼女らの声明文を見る限り、まさに脊髄反射であって、しっかりとしたロジックを組み立てた気配がない。

これだと、中国側から簡単に反撃され、ぐうの根も出ないほどコテンパンに反論されるだけだろう。

今回、中国を脊髄反射的に批判している者たちは、「自由・民主を守れ!」というフレーズに酔っているか中国が憎いだけの、感情に任せたままの対応になっていると思う。

これはフェアの思考からほど遠い、アンフェアの思考の典型例だ。