相続は「想い」を残すことでもある
配偶者居住権は、被相続人の死亡によって「残された配偶者」を、遺産分割や遺言によって住まいと老後の生活資金を確保しやすくして保護する制度なのだ。残された配偶者が、超高齢社会を安心して生活できる切り札として、配偶者居住権が有効的に活用されることが期待されている。
配偶者居住権は新たに創設された法律であり、相続税対策としても活用できるだろうという説もある。一方で、立法趣旨の通り行使されるとは限らないと警鐘を鳴らしている専門家もいる。
配偶者居住権は万能でない。残された親が1人で住めなくなることなど、さまざまな状況を想定して、どうすれば老後の生活が送りやすくなるのかを検討する必要があるだろう。
相続は家やお金を遺すこと以前に、遺族への想いを伝え遺すことだ。
遺言書には、付記事項を記載できる。
パソコンで遺言書を作成することができても、この部分については直筆で、相続人やその家族に対する感謝の気持ちをつづってはどうだろうか。
その一行、その一言が、相続を円満な方向に導くことになるかもしれない。