なぜこうもテドロス事務局長は中国におもねるのか

なぜこうもテドロス事務局長は中国におもねるのか。理由として中国がWHOの大口スポンサーであることが挙げられる。WHOへの搬出金はアメリカがトップで約1億2260万ドル(約133億円)。2位の中国は中国は約2870万ドル(約31億1000万円)を搬出している。日本は3位で搬出額は約2050万ドル(約22億2000万円)だ。

金額だけ見ればアメリカが中国の4倍以上も搬出しており、テドロス事務局長が「アメリカびいき」になってもよさそうなものだが、違和感があるほどにテドロス事務局長が中国を持ち上げて見せるのは「中国を褒めることによって感染症対策への協力を促したかった」という見方もあれば、テドロス氏が事務局長に選出される際に中国の働きかけが奏功したからではないか、テドロス事務局長の祖国エチオピアと中国の親密な関係が影響しているのでは、という憶測もある。

外形的には中国の方にリーダーシップがあるように見えてしまう

過剰な中国びいきはアメリカ、というよりトランプ大統領の機嫌を損ね、搬出金が一時凍結される事態になった。だがこうしたアメリカの姿勢は、かえって中国を利することにもなりかねない。コロナ禍で大変な時に、「WHOと歩調を合わせて事態の収束を目指そうとする中国」と「自国の事態も収拾がつかないうえに、国際的な感染症対策を取り仕切るWHOへの資金を停止して言うことを聞かせようとするアメリカ」と、どちらが国際社会のリーダーにふさわしいか、という話だ。

もちろん中国の意図を見抜いている人々であればそうはいかないが、外形的には中国の方にリーダーシップがあるように見えてしまう。日本では米中対立を歓迎し、ひいては中国が競り負ける事態を期待する向きも強いが、各国も同じように見ているとは限らない。アフリカ諸国をはじめ、経済支援などの「実弾」によって求心力を得ている中国の国際的影響力はいや増すばかりだ。

「だからといって、国際社会の保健や衛生をつかさどるWHOのような崇高な機関が、中国のカネに転んでいいのか」という指摘はあるだろう。テドロス批判が高まるのも、「本来中立的であるべきWHOがあからさまに中国に傾いているのはおかしい」と考える人が多いことの証左だ。