蔓延する「自粛・休業=絶対善」でない人を敵視する嫌な風潮
緊急事態宣言が5月末まで延長された。
今回は、一定の感染防止策を前提に社会・経済活動の再開が一部容認され、全業種で休業要請を解除する自治体もある。また、5月14日と21日に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の意見を聴取して解除の検討をすることも発表されている。
しかしながら、特定警戒都道府県は13のままで、外出の自粛や飲食店などの休業要請は引き続き行われている。
私が問題にしたいのは、日本列島に蔓延する「自粛・休業=絶対善」で、そうでない人を敵視し、異論の主張を認めないという嫌な風潮だ。
今、多くの日本人は「集団的浅慮」の状態にある
アメリカの実験心理学者アーヴィング・ジャニスは、集団がストレスにさらされ、全員の意見の一致を求められるような状況下で起こる、思考パターンを「集団心理(グループ・シンク)」「集団的浅慮」と呼んだ。
その兆候としてジャニスは下記を挙げている。
・目標を充分に精査しない
・採用しようとしている選択肢の危険性を検討しない
・いったん否定された代替案は再検討しない
・情報をよく探さない
・手元にある情報の取捨選択に偏向がある
・非常事態に対応する計画を策定できない
感染症学者の意見は、要は「外出自粛で家にこもっておけ」というもの。だが、同じ医療者でも精神科医や免疫学者の中にはそう考えない人もいる。彼らの中には、徹底した自粛ではなく、健康維持のために、むしろ「日に当たって散歩」などを推奨する者もいるはずだ。そういう意味で専門家会議や政府の要請は代替案を十分に精査しているとは言えない。
口を開けば「感染症拡大防止のため」と錦の御旗を振りかざす政府や首長だが、本当の目標は、コロナ禍に伴う死者や後遺症を少しでも減らすことであるはずだ。