親が何でも決めると、子供のやる気はなくなっていく
だが、多くの親はそれを待てない。「うちの子は幼いから」と思い込み、子供の行動にいちいち指示を出してしまう。
小学生になると、子供の日常に「勉強」が加わる。子供が幼いときはおおらかな気持ちで接することができたのに、なぜか「勉強」になると、厳しくなる親が多い。だが、自分から勉強する子にしたければ、子供の行動を待つことだ。子供には子供自身のやる気のタイミングがある。それを無視して先走り、「早く勉強しなさい!」と言われると、途端にやる気をなくしてしまう。こうしたことが続くと、子供は自分から行動しなくなる。そして、親がうるさいからと、仕方なく勉強をするようになる。
中学受験の勉強は4年生から始まり、入試本番まで3年間かけて準備を進めていく。私は中学受験専門のプロ家庭教師として、長年多くの子供たちの指導にあたってきたが、最近特に感じるのは、指示待ちの子供が増えていることだ。中学受験の勉強は、小学校で習う内容よりもはるかに難しく、また学習範囲も膨大だ。そのため、子供だけの力で勉強を進めていくのは正直難しい。そこで、親が学習スケジュールを管理するようになる。
「今日は算数と理科を勉強しなさい」
「明日は国語と社会をやること」
そうやって、親が何でも決めてしまうと、やがて子供は「今日は何をすればいい?」と指示を待つようになる。これでは、子供の自主性は育たない。
中学受験からでも、自主性は育てられる
このとき、幼い頃から自分の行動を自分で決めてきた子は、今日勉強したいことを書き出すことができる。幼い頃の親の関わりが、ここで大きな差を生むのだ。だが、多くの場合、このような関わりをせずに、中学受験の勉強が始まってしまう。受験勉強が始まると、毎日の課題をやることで精一杯だ。ここは気持ちを切り替え、長い目で自立を促していくほうが賢明だろう。
例えば、学習スケジュールを決める時も、親としてはやってほしい課題を挙げつつも、「できそうかな」「ちょっと無理そうだったらやらなくてもいいよ。どうしようか?」と選択肢を与え、最終的に子供自身に決めさせる。そして、それができたら、「1日にこんなにできたなんてすごいね! 頑張ったね!」と褒めてあげる。くれぐれも、「自分で決めたことなのだから、できて当然」と思わないこと。すると、子供は「お母さんに褒められた!」とうれしい気持ちになり、もっと頑張ってみようかなと思うようになる。こうしたやりとりを辛抱強く続けていく。
すぐに成果は出ないかもしれない。特に小学生にとって負担が大きい中学受験の勉強は、塾からの課題を終わらせるだけで精一杯だからだ。だが、できるだけ、子供が自分で自分の行動を決められるように、意識してほしい。