復帰したジョンソン首相は「第2波」を警戒
イギリスではこれまで述べたように、国民の「コロナ疲れ」も配慮しながら、事実上の「ロックダウン」に皆が協力し、ギリギリのところで犠牲者増加を食い止めたといった状況となっている。残念ながら、3月中旬に打ち出された「死者2万人以内なら上出来」としていたベンチマークを4月26日に超えてしまったが、"第一波"感染のピークを過ぎた後の到達だったのが救いと言えようか。
一方、この2万人には「介護施設や自宅で息を引き取った人々が含まれていない」という状況に目をつぶるわけにはいかない。ただ、絶望的な医療崩壊が起きなかったことに加え、4月下旬になって一般救急病棟の対応に余裕が出てきたとも伝えられており、ひとまず「ロックダウン」の成果は得られたといったところだ。
ジョンソン首相は27日、コロナ感染による復帰後初の演説を行い、「イギリス国民全員で外出を自粛したことで医療崩壊から病院を守り、感染曲線を平らにした」と評価。しかし、感染拡大の第2波に襲われ被害が急増すれば、「経済にとって大惨事」になると警告し、焦る気持ちを抑えてほしいとさらなる協力を求める一方、外出制限緩和に向けた方策や時期には言及しなかった。
まだ、感染拡大の可能性は残っている。ワクチン開発や免疫獲得の行方がはっきりするまでは、引き締めを続けることが重要だろう。