「他人への期待」もストレスを生む

また、「自分から他人へ」期待をかけすぎることでストレスが生まれるパターンでは、結果として、自分がメンタル不調になってしまうケースと、他人を追い込んでしまうケースがあります。後者のケースでは、期待を受けた人がその期待に応えようとして、無理を強要され、頑張りすぎてストレスに潰されてしまうこともあります。

大手から中小規模へ転職したGさんは、当初は前職と同じように「過剰な期待」を周囲に対して抱いていましたが、周囲とうまくいっていないことに気がつき、自分自身の仕事に対する心構えを少し変えることにしました。

すると、自分も以前の8割くらいのがんばりなのだから、周囲にも以前の部下たちと同じことは求めなくなり、職場での人間関係が改善。また、仕事に向けていたエネルギーを趣味に向けるようになり、表情も穏やかになっていきました。今では、ワークライフバランスの良い会社で定年まで働くことができそうだと、笑顔でお話ししてくれています。

期待値を下げた方がうまくいくことがある

言うまでもなく、自分に高い期待をもつことは大切です。そして、自分だけでなく、周囲とともに高い期待、目標を共有して業務に当たることができる人は、仕事で達成感を味わうという貴重な経験もできます。リーダーであれば、周囲に期待を示し、チームとして高め合うこと、よりベストな結果を目指すことは悪いことではありません。

しかし、時には柔軟に考えることが大切になります。

自分や周囲の人たちの不調の兆しに気づきつつも、それを打ち消すために頑張ってしまうのは、その期待値が“高すぎる”可能性があります。自分や期待をかけられた周囲の人たちは、本当にあなたと同じレベルのやる気で仕事をしたいのでしょうか? 一度、立ち止まって考えてみましょう。

時には、自分へも周囲へも、期待値やゴール設定を下げることで、状況が好転することがあることを忘れないでください。