これまでのノートはすべて保管

1冊を使い切るのに平均で2週間。いろんな人と会ったり、机のないイス席の講演会に参加したら、3日で書き終わることもあります。表紙に書き始めの日と書き終わりの日付を書いて、たとえば「○○さん語る」「××勉強会」と簡単にインデックスを書く。背表紙に日付を入れて、書棚に並べています。これまでのノートはすべて保管していて、大昔のものはさすがに倉庫に入っていますけど、何年何月何日のメモが欲しいと思ったら、取り出して見返すことが一応できます。仮に高校3年生の気持ちになる必要がある企画があれば、当時のノートを取り出して見ればいい。

移動中を含め常時使うA6ノートのほかに、机があるミーティングやセミナーなどで愛用しているのが、ただのA4のコピー用紙です。調達が簡単なのが最大の利点。普段から鞄に入れて持ち歩いていますが、突然ストックが尽きても、出先でも、会社ならどこでもコピー用紙はありますから。なんでも書ける無地の白で、自由度が高いのがコピー用紙のいいところです。

メモは「脳のモニター」だと私は考えています。「自分で考えていることは、書かないと実は自分にもわからないはず」というのが持論。アイデアって、頭の中でいくら考えていても、書いて人に見せることができなければ、ないのと同じ。だから、常に書き続けているのです。

A4の白紙にメモを取りながら打ち合わせをすると、私が書いたメモを相手が指さして説明に使い、話し合いがスムーズになる。メモ紙の上で、お互いの思考を一緒にやっている感覚です。この感覚はホワイトボードでも同じですが、板書は、特に会議の参加者全員が1つのことに意識を集中すべきときです。

A4のコピー用紙もホワイトボードも書いたものは、いずれもその日のうちにスキャンやスマホで撮影してデータ化します。それに日付とタイトルを書き込んで、案件ごとにフォルダに分けてパソコンに保存する。画像や切り抜き資料、録音や映像もすべて同じフォルダに整理しています。

A6のノートも、コピー用紙も、ホワイトボードでも必ず守っているのが、黒一色で書くこと。データ化した際、読みやすく、かつ容量が軽い。ペンは0.7ミリのボールペンと決めていて、替え芯をダース買いしています。同じように欠かせないのが、ホワイトボード・マーカー。常に黒のスペアを3本携帯しています。

ホワイトボードを使って会議することが多いんですが、会議室のマーカーは、ほぼ確実にインク切れしている(笑)。「なんで書けないんだよ」という書き始めのつまずきで、一番新鮮で大切なアイデアが失われる。この損失に比べれば、マーカー代など安いものです。

(構成=伊藤達也 撮影=市来朋久)
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