今後、高齢者の検査は後回しになるのでは

「新型肺炎の感染拡大は国の責任ではない」とツイッターでバカなことをつぶやいたのは、自民党の佐々木はじめ国土交通政務官である。

こんな連中のいる中で、安倍政権が、行動規制で起きる莫大なリスクをすべて負い、雇用を失ったり、売り上げの激減した企業や店舗経営者たちに、手厚い補償をする覚悟があるのだろうか。

一世帯に30万円を配るという一見“大盤振る舞い”のように思える補償も、手続きや収入が減ったことを証明するための煩雑さで、本当に困っている人の手に届くのか、まだまだ不透明である。

私のような高齢者が危惧しているのは、ただでさえ運動不足になりがちなのに、さらに行動を制限され、家に幽閉されてしまうことである。

週刊現代(4/11・18号)でも、高齢者が適度な運動もせず、家に閉じこもりきりになると、免疫力が低下していくと指摘している。

さらに生活習慣病などがあれば、うつ病などや認知症を発症する可能性が高いというのである。

さらに、高齢者が「新型肺炎に罹ったかもしれない」と思っても、どこへ駆け込めばいいのか。

一応、東京なら各区の保健所の「帰国者・接触者相談センター」になっているが、電話しても、かかりつけの医者に行けと、受け付けてくれないケースが多発しているようだ。

感染者がさらに増えていった場合、高齢者が後回しになるのではないか。

死に目に誰とも会えないまま火葬されてしまうのか

年寄りの僻みといわばいえ。世界中で起きている「命の選別」が、年寄りを軽視するこの国で起きないわけはないと、私は考えている。

人工呼吸器は日本全国で3万台近くあるといわれ、政府も増産を指示しているから、今後増えることが予想されるが、肺機能が低下した重症患者の血液に酸素を送る装置であるECMO(エクモ=体外式模型人工肺)は1400台ほどしかないそうだ。

亡くなった志村けんもこれを使ったようだが、ECMOを用いる治療には専門の医師と看護婦、臨床工学技士が必要だが、人材が極めて払底しているといわれる。

イタリアでは、人工呼吸器さえも60歳以上にはつけないという「シンプルな基準を設けた」(坂本知浩済生会熊本病院循環器内科部長=週刊現代4/11・18号)そうだ。

ユダヤ人虐殺のためにつくられたアウシュヴィッツ強制収容所では、労働力とみなされない妊婦、女性、病人、老人、身長120cm以下の子供らは右、それ以外は左へと「選別」されたといわれる。右に送られた者たちの先にはガス室が待っていた。

新型コロナウイルス肺炎では、私のような病気持ちの年寄りは、普通の肺炎か新型コロナウイルス肺炎かの判別もされず、満足な治療も受けられないで、死に目に誰とも会えないまま火葬されてしまうのかと思うと、夜も眠れない。(文中敬称略)

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