もしコロナに罹っても、不運だったとあきらめろというのか

多くの国の死亡者の統計から、はっきりしてきたのは、そのほとんどが高齢者で、生活習慣病などの持病を抱えている人だということである。

「WHO(世界保健機関)と中国の合同ミッション報告書によると、生活習慣病がない新型コロナウイルス感染者の致死率は1.4%だ。これに対して、糖尿病の感染者の致死率は9.2%、高血圧患者は8.4%と軒並み高くなっている」(平野国美ホームオン・クリニック院長=週刊現代4/11・18号)

日本の死亡者数を見ても50歳から上がほとんどで、特に70代、80代が死亡、重症者数ともに圧倒的に多い。

したがって、早急にやるべきは、高齢者のコロナ感染検査と、陽性と判明した高齢者たちの隔離、入院、治療であるべきことはげんたない。

だが、緊急事態宣言の中にあるのは「老人福祉施設の使用停止」要請だけである。

年寄りは家に籠っておとなしくしていろ。もし、コロナ肺炎に罹っても、不運だったとあきらめろというのか。

これでは現代版「楢山節考」ではないか。

しかし、こうした「命の選別」は、日本だけのことではない。コロナ禍に見舞われている国では、それが堂々とまかり通っている。

「70歳以上の患者にはモルヒネで安らかに逝っていただく」

イタリアのコロナウイルス“爆心地”ロンバルディア州のベルガモの病院の医師は、「わが国では、70歳以上で新型肺炎が重症化した場合、2人にひとりが亡くなっている状況です。彼らに人工呼吸器を着けさせなかったらどうなるか。(中略)ただ、どうすることもできない。人工呼吸器の数が足りない以上、若く、助かる見込みの高い患者を優先して治療しなければなりません」(週刊現代4/4号)といっている。

ミラノ在住のヴィズマーラ恵子も、「地元の新聞では、一部の病院で、『70歳以上の患者さんに対しては、大量のモルヒネを投与して安らかに逝っていただく』措置を取っているという内容が報じられています」(同)と話している。

ニューヨークでも同じことが起きていると朝日新聞(3月30日付)が報じている。

「これまで高齢の患者が肺炎で呼吸困難に陥ったら、『挿管してほしくない』と意思表示があるケース以外はしていました。何歳であろうが、患者の意思を尊重し、生きるチャンスに懸けてみる。当たり前のことです。

ただ、いまはそんなことはとてもできません。患者や家族がいくら挿管してほしいと言っても、『生き残る可能性が高いひと』を選ばざるをえない。患者に決定権を与えられない。平常時なら助けられるかもしれない患者を助けられないんです。これは、医師としてやりきれない。でも、そんな『命の選別』のようなことを、せざるをえない状態です」

これからは日本でも、病院の入り口に「犬と高齢者は入るべからず」という張り紙が貼られ、疾患のない高齢者でも、検査を受けられないという事態が出来するかもしれない。