日本のスーパーで買い物をしていると、たとえば卵1パックがほとんど同じ値段で10種類以上棚に並んでいて、かえって選びにくいと感じる。“選択肢が多い”ということは、必ずしも便利さとイコールではないはずだ。

肉類は調理ができないので見送り、ヨーグルトと豆乳、ライチを選んでカートに入れた。アマゾンで買い物をするのと同じ要領だ。

操作を進めていくと配達時間を選ぶ画面になり、30分刻みで到着時刻を選択。このときは午前11時6分だったが、表示されたのは最速で11時半~12時の時間帯だった。少々タイミングが悪かったのかもしれない。

昼の時間帯でも1時間で到着する早さ

支払いを終えると、しばらくは「配送準備中」との表示が続き、11時32分に「パッケージ作業開始」、34分に「パッケージ完了」36分に「配送中」と進行していった。

西谷格『ルポ デジタルチャイナ体験記』(PHPビジネス新書)

これは早い。

店員さんが、保冷バッグから商品を詰めている姿が眼に浮かぶ。同時にアプリ上に地図が表示され、バイクにまたがったカバのアイコンが動き始めた。一昔前の中国と比べたら、丁寧すぎるくらい行き届いたサービスである。

「ウーバーイーツ」もそうだが、アプリ上で配達員の現在地がわかると、到着時間の見当がつくので非常に楽だ。「ちょうどいま出ました」と、昔のそば屋の出前のようなウソをつかれることもないし、いつまで待たせるのかとヤキモキもしない。

画面上のカバの動きを見ていたら、予定時間ギリギリの12時直前、ホテルのドアをコンコンとノックする音が聞こえた。ドアを開けるとヘルメットをかぶった配達員が、ビニール袋を片手に立っていた。

「西谷格さんですか?」と聞かれて「はい」と答えると、無言で袋を手渡され、配達員は早足で去っていった。このときは1時間近くかかってしまったが、タイミング次第では30~40分程度で到着する場合もあるようだ。

近所のスーパーに行って買い物をすると、最低でも往復20分ぐらいかかる。よほど急いでいなければ、“カバさんスーパー”を使ったほうが時間の節約になりそうだ。

筆者註:3月24日現在、北京や上海などの大都市圏でもサービスを行っている。

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