「まるで倉庫」頭上を通過するベルトコンベア

上海市内のショッピングスーパーのフロアで“カバさんスーパー”を訪れると、まずは店内の清潔感に気づかされた。いや、中国の既存のスーパーがとくに不潔というわけではないのだが、それでも日本のスーパーに比べると薄暗さや雑然とした雰囲気が強かった。

しかし、“カバさんスーパー”は商品が整然と並び、既存店舗の一歩先を行っている感があった。一見すると日本のスーパーとそれほど変わらない雰囲気だが、少し歩いてみると、頭上のベルトコンベアがすぐさま目に入った。

撮影=筆者

店内の天井にモノレールの線路のようなものが縦横無尽に張りめぐらされており、いくつかの保冷バッグがレールにぶら下がったままバックヤードへと運ばれていた。

「店員」であると同時に「作業員」

コンベアの下には、落下防止用のネットも張られている。店内には保冷バッグ置き場とベルトコンベアへの輸送ポイントが何箇所かあり、スタッフが忙しく動き回っている。保冷バッグにはハンガーが取り付けられ、コンベアに引っ掛けられる仕組みだ。

男性店員を観察していたら、スマホのようなマシンを器用に操りながら保冷バッグを一つ取り、そこへ豚肉や野菜などの商品を詰め込みコンベアへと引っ掛けた。こうして見ると、店舗の「店員」であると同時に、ネット注文の商品をピックアップする「作業員」ともいえる。

保冷バッグに詰め込んでいる最中は話し掛けられるような雰囲気ではない。保冷バッグの行方を追いかけ、バックヤードの扉が開いた瞬間に部屋の中を覗いたら、大量の保冷バッグから発泡スチロールの箱へと梱包する作業が行なわれていた。

店内は清潔感がある一方、ベルトコンベアのゴゴゴゴゴという作動音がつねにBGMとして聞こえ、倉庫のような寒々しさも感じる。店舗のような倉庫のような、どことなくスウェーデン発の家具販売店「IKEA」の売り場を連想した。

既存のスーパーに比べると殺風景で、日本人が使うには“割り切り”が必要かもしれない。

「昨日のものは売りません!」

“カバさんスーパー”は「盒馬鮮生」という店名の通り、“鮮度の良さ”を大きなウリにしている。

売り場に陳列されている肉や野菜はパッケージに「水曜日」「土曜日」などと曜日が大きく印字され、古いものは一目で区別可能。「昨日のものは売りません!」という文言がパッケージに書いてあるのも特徴的だ。

撮影=筆者

曜日表示のない野菜が割安で売られていたので、「これは昨日の野菜を詰め替えたのでは?」と意地悪く店員に聞いてみたが「そんなことはしていません。当日出した商品は売り切っています」と自信満々の回答。鮮度重視のものと安さ重視のものを、分けて販売しているようだ。