国立のトップスリー独占を阻んだのは、私学の雄、慶應義塾大学。共立薬科大を吸収合併し、今年から薬学部を開設、また「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」に全国の大学で唯一、5年連続採択されるなど、ここ数年、何かと話題に事欠かない大学でもある。一橋大同様、同窓会組織「三田会」(各種の団体が存在しており、現在約870団体)が強固な人脈形成を誇っている。
続く私学は、国際基督教大学(ICU)だ。外資系企業への就職が多く、また国連など国際機関で活躍する卒業生が多い。国内の企業に就職しても海外部門に配属される機会が多いという。単に外国語が堪能というだけでなく、国際感覚も養える教育環境があってこそ、上位が確保できるということだろう。
また、このランキングで異彩を放っているのが“お買い得度”だ。これは年収偏差値から入試時の偏差値を引いたもの。学力の難易度が、年収偏差値より低ければ低いほど「お得」ということだ。
そのなかで特筆すべきは、17位の東京海洋大学だろう。偏差値51は、表に掲載されている50校のなかで2番目に低い。しかし、平均年収は堂々の17位、799万円なのだ。この大学、実は2003年に東京商船大と東京水産大が統合して開学した。海洋工学部と海洋科学部の2学部で、海運に関する技術や水産食品や環境など、まさに海に関する専門大学だ。卒業生の多くが、現在の国内不況をものともしない海運会社へ就職している。それが、この高ランクに表れている。
すでに大学全入時代に突入した。今後、大学は淘汰の波をかぶり、時代のニーズに応じた変化を余儀なくされてくる。高年収の企業への就職がすべてではないが、特色ある学習内容と、豊かな人格形成を進めることが、結果的によりよい就職に繋がるのは言うまでもない。
※すべて雑誌掲載当時