空き巣には遭ったけど「一番の宝物が戻ってきた」

真冬の寒さの中で、3日間。食べ物と水をくれた女性の助けがあって、奇跡のように自宅に戻れたことは間違いありません。まさに100歳のネコ、たいちゃんの思わぬ大冒険でした。

新年早々、思いもよらない空き巣事件に遭ったご夫妻も、きっとたいちゃんの帰還で、日常に戻っていくでしょう。そう確信できるほどに「一番の宝物が戻ってきた」という喜び方でした。

とはいえ、家族のためにあれほどの環境を整え、防犯対策をしていても、思わぬリスクからネコがいなくなることがあるのです。

藤原博史『210日ぶりに帰ってきた奇跡のネコ ペット探偵の奮闘記』(新潮新書)

落ち着いた奥さんが、こう話してくれました。

「ちょっと前に、藤原さんのことをたまたまテレビで見たんですよ。その時に『うちの子たちに何かあったら、この人に頼もう』と思ったんですけどね、まさか本当にお願いすることになるなんて。こんなことがあるなんて」

もう1日でも依頼の電話が遅かったなら、たいちゃんは体力的に持たなかったかもしれません。依頼に応えられて、見つけられて、本当に良かった──。

「見つかって本当に、嬉しいです。皆さん、頑張りましたね」

そうお伝えして、私は次の捜索現場へと向かいました。

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