リモートワークを導入するのは企業としてはなかなか勇気がいることですが、そのままにしておいても数年後にツケが回ってくるだけだと考えています」

また日本企業でよく問題視されるのが長時間労働の常態化だ。

働き方改革により、積極的な有給休暇の取得促進がされたとしても、業務上の問題や社内の雰囲気などで、休みを取ることが困難な人もいるだろう。

たとえ休みを取ったとしても、休み明けにはメールや業務がどっさりと溜まってしまい、それはそれでストレスになる。それ以前に、土日の休みも結局、パソコンを開いて、電話対応までして、一日が終わってしまう人もいるかもしれない。その場合、「休日返上」という形になり、もちろんタダ働きだ。

インターネットにより、「いつでも、どこでも、誰とでも」つながることができるようになり、仕事はケタ違いに効率化されたが、逆に勤務時間外の業務対応を誘発し、現代人を悩ませる原因にもなっているといえよう。

中間管理職にしわ寄せが

そして、これら現代の働き方における諸問題の犠牲となっている代表格が、中間管理職だ。都内のIT企業で部長として働く40代の男性は現在の職務について、こう悩みを打ち明ける。

「世の中の風潮もあって、会社は若い社員に残業をさせないようになりました。しかし、彼らが残業をしない代わりに働く時間が増えるのは私たち中間管理職です。面倒を見る部下が何人もいるので、常に複数のタスクの責任を負わなければいけません。私の休日は土日ですが、土日は土日で動いているチームもある。その場合、休日に関係なく私にはひっきりなしに連絡がきて、対応を求められます。さらに、中間管理職になるような年代は、仕事以外の責任も増えます。子どもの進学、家のローン、親の介護。考えることが山積みです」

こういった中間管理職たちが長期休暇を取り、余暇を楽しむなど夢のまた夢。会議や打ち合わせなど、業務でスケジュールはあっという間に埋まり、連日会社を空けることはどうしても困難になる。そんな中間管理職たちを救うのが、このワーケーションなのである。東原氏の話に戻ろう。

「たとえば、月曜から金曜日まで通しで休みを取れれば、土日を含んで9連休になります。そうすれば、海外にだってどこにだって行くことができる。仕事に追われている中間管理職に対しても、それを実現可能にしてくれるのが、ワーケーションという制度なのです。家族でリゾート地に休暇を楽しみに行き、そのうち決められた時間だけリモートワークによって仕事をする。旅行先で“出社”をするのです」(東原氏)

業務が終われば、家族に合流して再びリゾートを満喫する。