「ハワイ」の価値が変化している

誤解をしてはいけないのは、休みの日も仕事をしなければならないというわけではない、ということ。ワーケーションは、長期休暇が取れない人々に、それを実現させる休みの取り方の1つにすぎない。

「ハワイと日本の時差は19時間で、リモートワークでも調整が利きやすい。『仕事が終わったら、どこへ行って何をしようか』とポジティブになれる」(東原氏)
「ハワイと日本の時差は19時間で、リモートワークでも調整が利きやすい。『仕事が終わったら、どこへ行って何をしようか』とポジティブになれる」(東原氏)

JALは、ハワイでの長期滞在をワーケーションと同意義と捉え、5泊以上の滞在の場合、割引運賃の適用やワーキングスペースの提供、ホテル側からの特典などを盛り込んだ「ワーケーションサポート」という商品の販売を始めた。

ところで、なぜハワイなのか。それには、時差の点で調整が利くという理由以外にも深いものがある。

JAL国際線の記念すべき第1便はサンフランシスコ便であり、その経由地として機能していたのが、ハワイであった。JALとハワイの関係は66年にも及び、同社にとって思い入れの強い土地でもある。

そのなかで競合であるANAは、19年5月ハワイ線に世界最大の総2階建て旅客機A380(520席)を導入。提供座席数は140%増となり、JALのハワイ線に暗雲が立ち込めた。そういった背景もあり、より差別化したハワイ旅の提供に力を入れている。JAL国際路線事業部の阿部元久氏にその展望を聞いた。

「ひと昔前のハワイといえば、『みんなで一緒にビーチとショッピングへ!』といった単純なものでした。しかし、そういった大量輸送の時代は終わりました。パッケージでもなく、ツアーでもなく、より個を重視したマーケティングに世の中が変わってきています」

阿部氏によれば、日本人観光客のハワイでの滞在の仕方はすでに大きく変わってきているという。Uberなどの普及で現地での移動手段がとても柔軟になった。それに伴い、ガイドブックではなくSNSを参考に訪れる場所を決める人が増え、ショッピングだけではなく体験を重視するようになり、現地の人との交流など新たなハワイの価値が生まれた。

従来の大型ホテルだけではなく、コンドミニアムや一軒家で暮らすように過ごすスタイルも出てきた。こういった変化に合わせ、JALは世界最大級の民泊サイト「HomeAway」とも提携を結んでいる。