大手アパレルにとって代わった「カテゴリーキラー」
しかし、作れば売れるというワンパターンのビジネスに30年以上もどっぷり漬かっていたアパレル・メーカーと百貨店の男たちは、時代の変化を読む感性が磨滅していた。その結果、かつて業界の王者と自他ともに認めたレナウンは2010年に中国山東省の民間大手繊維メーカー、山東如意科技集団の傘下に入り、2015年に虎の子のバーバリーのライセンス契約を失った三陽商会はリストラに次ぐリストラという荊の道を歩み、東京スタイルは姿を消した。
彼らが頼っていた百貨店も、カテゴリーキラー、ネット通販、ショッピング・モールなどの登場で、単独で生き残ることが難しくなり、2003年にそごうと西武百貨店が統合し、ミレニアムリテイリングが発足したのを皮切りに、続々と経営統合に走ったが、いまだに業績改善の兆しは見えない。
大手アパレルにとって代わったのが、ユニクロ、しまむら、青山商事といった「カテゴリーキラー」だ。特定分野(カテゴリー)の商品を大量に揃え、低価格で販売する小売業者(および製造小売業者)のことである。
かつてレナウン、樫山、三陽商会といった「百貨店アパレル」が上位を占めた業界の売上げランキングは、直近の決算では次の通り激変した。
①ファーストリテイリング(ユニクロ)2兆2905億円
②しまむら5460億円
③青山商事2503億円
④ワールド2499億円
⑤オンワードホールディングス2407億円
ユニクロの勝因と既存大手アパレル・メーカーの敗因は何だったのか? それを知るためには、「平成の怪物」であるユニクロのビジネスモデルを解明しなければならない。(後編に続く)