いまや歯科医師はワーキングプア!?

人間の身体に直接かかわる代表的な試験の医師と歯科医師の国家試験。大学別ランキングを見ても医師の合格率は90%台で、各校に大きな差があるわけではない。反対に歯科医師の場合、トップの北大と最下位の奥羽大との間には50.8ポイントもの差が開いている。大学によって知識や技能に大きな差がついている可能性が高い。すると、自分の歯が痛んだとき、どの出身大の歯科医師に診てもらうか、どうしても気になってくる。

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(※=国公立大学)

いまや「コンビニエンスストアの数より、歯科クリニックの数のほうが多い」といわれるくらい、過当競争の時代に入った歯科業界。現役の歯科医師の間からも、削減を求める声があがり始めている。しかし、私立の歯科大の多くは国からの財政援助を受けていない関係で、文部科学省から定員削減の打診があっても、頑として受け入れない。そこで、厚生労働省としては、出口である歯科医師国家試験を厳しくする方向にあるといわれる。

実際、歯科医師に話を聞いていくと、下位の歯科大の入学者の学力は目を覆うほどといわれる。たとえば、「数学、理科などの基礎科目は中学レベルから教えなくてはならない。また、漢字がわからずに、テキストをまともに読めない学生もいる」といった指摘がある。卒業までに、一人前の歯科医師としての知識と技量を身につけることができるのか、クエスチョンマークが浮かんでくる。

「私立の場合、ストレートに卒業して国家試験に合格するまでは、入学金、授業料、寄付金などで5000万円近くかかる。もし、留年したり、試験に落ちたりしたら1億円以上に膨らむことも珍しくない」という。それにもかかわらず、年収300万円未満の“ワーキングプア”の歯科医師が大量に発生している。投資に見合うリターンが得られるのかどうか、プラチナ資格たりえるのかも含めて再考する必要がありそうだ。

(ライヴ・アート=図版作成)
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