出身国のエチオピアと中国には「特殊な関係」がある
習氏の求めた慎重な判断とは、緊急事態宣言の見送りだ。そんな習氏と中国政府を褒めたたえるテドロス氏。この2人にはあきれる。世界各国の人々の健康を守るのがWHOの役目である。それが政治的な力学で動いてしまうのであればどうしようもない。
さらに産経社説は書く。
「テドロス氏の出身国エチオピアと中国には、『特殊な関係』がある。鉄道や電力供給などで中国からインフラ投資を受けるエチオピアは、巨大経済圏構想『一帯一路』のモデル国家とされる一方、膨大な債務にも苦しんでいる」
「テドロス氏は2012~16年に外相を務めて中国との関係を深めた後、前任の香港出身のチャン氏の後を継いでWHO事務局長に就任した」
「公衆衛生上の危機に厳格に対処する国際機関のトップとして最も重要な中立性は、当初から疑われていた」
産経社説が指摘するように、WHOは中立でなければいけない。それにもかかわらず、WHOのトップは「自分さえよければいい」という考え方に傾いているようにみえる。
「WHOに信用がおけない」「日本政府は依拠すべきではない」
これまで産経社説は「日本第一主義」を主張し、トランプ氏らの自国第一主義を肯定してきた。だからだろう。今回の社説も、最後はこう主張している。
「WHOに信用がおけない以上、日本政府はこの判断に依拠すべきではない。政府はWHOの緊急事態宣言を受けて、『指定感染症』の政令施行を7日から1日に前倒しした。宣言を待たず、独自の判断で迅速に施行すべきだった」
「WHOが渡航制限勧告を見合わせても、米国はすでに中国全土への渡航について最高ランクの『渡航中止』に引き上げている」
「問われているのは、極めて緊急性が高い危機管理である」
「政府には、これに長けた米国と緊密に連携して国民の保護と感染の抑え込みに当たることが求められている」