ハガキ職人に憧れるも才能のなさを痛感
――「灘中・灘高を経て東大医学部」という和田さんの肩書だけを取り出すといかにもエリートに見えますが、苦しんだ時期もあったんですね。
小学生の頃、僕は勉強しか取り柄がない人間だったんですね。6回も転校していて、いじめられっ子だったし。そんな子が灘中学に入って1年生から遊んでいたら、学年で170人中120番ぐらいまで成績が落ちてしまい、勉強すらも取り柄じゃなくなってしまったんです。
学校の勉強は面白くなかったし、友達付き合いもあんまり良くなかったし、運動ができないという非常にみじめな欠点もあった。関西だから面白い人になれればいいなと思ったんですけど、そこも駄目だったんです。深夜ラジオにハガキを出しても全然読んでもらえず、自分の才能のなさを痛感しました。小説家になろうと思ったけど全然文章が書けないことに気付かされて、2カ月であきらめたこともありました。
生徒会の選挙もそのひとつですね。僕が中1のときに高3で生徒会長だったのが、のちにフジテレビのキャスターから神奈川県知事になった黒岩祐治さんなんです。その生徒会長の姿が当時すごく格好良く見えたんですね。それで何回となしに選挙に出たけれど、同級生の勝谷が簡単に勝って、僕は一度も勝てなかった。それで自分がいかに人望がないかを思い知らされました。
有名塾から有名校でなくても東大には入れる
――いろいろ挫折を味わったあと、映画監督になりたいと考え、その資金を稼げる仕事として医師を目指そうと考えついた。
自分としては「なんかうまくいかないな」とずっと思い続けてきたんです。でも、そのせいで医学部を目指そうと考え、数学や物理の解法を暗記するといった受験勉強のテクニックを自分なりに考えるようになりました。
僕は受験勉強について本を書いたり、勉強法の通信講座をやったりしているんですけど、今の受験生を見ていて思うのは、初めからあきらめている人がすごく多い気がするんです。今の親御さんたちは、小学生の頃から子供を有名な塾に通わせて、開成や灘のような学校に入れないと、東大や医学部には入れないと思い込んでいる。でも、実はそんなことはなくて、それ以下のランクの高校からでも東大や医学部に入る人はいるんです。
親御さんたちはお子さんを有名な塾に入れて、そこでついていけなくても無理無理に通わせてしまう。そうすると子供が「僕はバカなんだ」って思って勉強嫌いになったり劣等感を持ったりする。その塾のやり方が合わないなら代わりを探せばいいんですけど、親御さんはそのルートが正しいと信じたらそこを変えようとしないんです。
そういう人たちが僕の本を読んでどう思われるか分からないけど、「みんな順風満帆というわけではないんだよ」ってことを知ってもらいたい気持ちはあります。高校生でも読めるような文章にしているはずなので、若い子にも読んでほしいですね。