学生も社会人も忙しくてゆっくり食事する時間がない
まずこの世代は本当に忙しい。ゆっくりと食事をとっている時間がないという彼らの現状が浮かび上がってくる。
ランチタイムの前にアプリでオーダーしたサラダを、ピックアップしてすぐにデスクに戻り、パソコンを見ながら掻き込むというのが、IT系を中心とした都市の若者のライフスタイルになっている。
一方で2つも3つも違う仕事を掛け持ちする人、昼は学校、夜と週末は仕事という大学生、高校生でさえお稽古事やアルバイトをしながら試験勉強している。
高度にインフレが進んでも賃金がなかなか上がらない経済の中で、生き残っていくためにはゆっくり食事する時間とお金を犠牲にしなければならない。
だからといって、スナックなら何でもいいというわけではない。まずヘルシーであること。かつてのようなチョコレートバーや砂糖たっぷりのシリアルはアメリカでも敬遠される傾向にある。
そして見かけがいいこと。すでに述べたようにインスタにポストできて一石二鳥だからだ。
そしてもう一つ重要なキーワードは、食のダイバーシティである。
この世代はアメリカ史上最もダイバース、つまり人種的に多様な世代だ。だからかつてのアメリカ人に比べ、常に異文化に対してオープンであるのみならず、むしろこれまで食べたことのない、世界中の新たな食アイテムを常にネットで探している。
そして、手軽に食べられるスナックやデザートなら、より新しいものを取り入れやすいというのが大きい。
タイヤキ・アイスクリームはこうした世代のテイストを象徴するものと言っていい。10年、15年前には絶対に起こり得なかったトレンドなのである。
こうした時代の流れの中で、実は日本の食には大きなチャンスが来ていると言っていいかもしれない。
“ふわふわ”な日本発スイーツが今年ブレイクの予感
ニューヨークタイムスでは、今年の食トレンドは「何が何でもジャパニーズ」と予測している。もちろん、最大の理由は東京オリンピックだ。
その中で大ブレイクが予測されているのは、ジャパニーズスタイルのスフレ・パンケーキ「フリッパーズ」だ。フリッパーズはすでに海外に出店しており、昨年秋に満を持してのニューヨーク上陸を果たした。
同じようにふわふわスイーツとしてすでに人気が定着しているのは、日本式のチーズケーキ。昨年秋、日本のブランドでやはりアジアなどに出店している「てつおじさんの店」が初上陸して話題を呼んだが、実は数年前にもチャイニーズ・アメリカンによる「Keki Modern Cakes」がふわふわチーズケーキを持ち込んでいた。
こうしたアメリカでのふわふわ人気は日本にいる日本人にはなかなか感知しにくかったに違いない。今では本家ジャパンの参入で再び注目を浴び、どちらの店も行列ができる人気である。