実証データ:箱根の記録は厚底利用率アップとともに向上していた
果たしてナイキの厚底シューズはどれぐらいの“威力”があるのか。さらに詳しく調べるべく、直近4年間の箱根駅伝の1区~10区の区間記録(上位5人の平均タイム)で検証した。すると、ほぼ全区で毎年のようにタイムが短縮されていた。とりわけ3区や4区などは、たった4年で2分30秒近くも速くなった。これは驚異的と言わざるをえない。
【箱根駅伝の過去4年間における区間上位5人の平均タイム】
1区 1時間3分59秒→1時間2分32秒→1時間2分39秒→1時間1分20秒2区 1時間7分51秒→1時間7分25秒→1時間7分07秒→1時間6分28秒
3区 1時間3分43秒→1時間3分08秒→1時間2分16秒→1時間1分04秒
4区 1時間3分52秒→1時間2分41秒→1時間2分35秒→1時間1分35秒
5区 1時間13分00秒→1時間12分17秒→1時間11分37秒→1時間10分57秒
6区 59分03秒→58分52秒→58分18秒→57分59秒
7区 1時間4分51秒→1時間4分26秒→1時間3分24秒→1時間2分54秒
8区 1時間6分13秒→1時間6分15秒→1時間4分47秒→1時間5分00秒
9区 1時間10分40秒→1時間11分02秒→1時間9分53秒→1時間8分59秒
10区 1時間11分24秒→1時間11分43秒→1時間10分41秒→1時間9分08秒
※左から17年→18年→19年→20年
記録は風や気温など気象条件に左右される部分が大きいため、単純比較はできない。それでも、これだけの記録ラッシュは、純粋な競技力の向上以上に、シューズの進化が大きかったのではないか。
箱根駅伝出場選手の「ナイキ厚底シューズ使用率」と重ね合わせてみると、使用率アップとともに記録が向上していることもわかる。
2018年:19.5%
2019年:41.3%
2020年:84.3%
(※2017年は発売前のため0%。2019年は薄底シューズの選手もいたが詳細データがないため厚底以外のシューズも含む)。
ナイキの厚底シューズを着用すると、「5000mで15秒は速くなる」と証言する実業団チームの監督もいる。年末年始の実業団駅伝や高校駅伝などを含めて考えてみると、確かにそれに近い感覚がある。全国高校駅伝1区(10km)は30秒、箱根駅伝(1区間22km前後)では1~2分も従来よりも速くなっている印象だ。