30代ともなれば仕事やポジションで給与格差が生まれている

住宅購入のタイミングは人それぞれケース・バイ・ケース。なかには、事例に登場した田村さん夫婦のように、「同期が買うと聞いて」というケースは珍しくない。

ただ、冷静に考えると同期と自分の共通点は「入社年が同じ」ということのみ。それ以外の条件や状況は、田村さんとAさんのように、物件や資金計画、親からの援助、生活スタイル、価値観など、まったく異なる。

年収ひとつとってみても、今どきの企業は年功賃金から成果主義の給与制度に移っている場合も多く、「社会人3年目の25歳を過ぎたら同期に給与明細は見せられない」と言われる。30代ともなれば、確実に仕事やポジションによって格差が生まれているのだ。一般的に、賃金水準がピークに達する50~54歳になると、賃金格差はもっとも拡大する。

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その頃には、住宅ローンが終わって、余裕で老後資金準備にも取りかかれそうなAさん夫婦と、子どもの教育費と住宅ローン返済に追われ、それどころではない田村さん夫婦。彼らの差もさらに大きく開いている可能性が高く、老後生活も早くも明暗がはっきりしている。

田村さんは、勢いだけで買うべきではなかったと後悔しているが、住宅のように、ほぼ一生に一度しかない高額な買い物をするときは、勢いというのも時には大切だ。思い切って決断するのも重要だからだ。

しかし、多額の住宅ローンを組むのであれば、返済できるのかどうか、住宅購入後の生活にゆとりをもてるかどうか見極め、慎重に計画を立てることが大前提。これと個々の購入の理由が生じたタイミングが合致したときが、住宅購入の最大の好機といえる。

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