同期には親からの経済的援助や育児サポートがあった

Aさん宅の敷地は、Aさんの妻の父親名義のもので、結婚した時点でそこに住宅を建てる予定になっていたそうだ。そのため、会社の「住宅財形」や「NISA」など税制上有利な金融商品を活用して、住宅資金を計画的にためていた。

Aさんの実家の親からも「住宅資金贈与の特例」で援助を受けることができ、土地代を除く建築費用(約2000万円)の半分以上は自己資金でまかなったという。月数万円程度の住宅ローン返済も20年で完済できるらしい。月12万円の返済を35年間続ける田村家よりずっと余裕のある返済プランとなっているのだ。

さらに、Aさんの妻の実家の近くに建てただけあって、両親が子どもの保育園の送迎や世話などをこまめに手伝ってくれるし、夫婦そろって、実家で夕食なども食べて帰ることもあるという。

写真=iStock.com/JohnnyGreig
※写真はイメージです

田村さん夫婦はいずれも地方出身で、両親は健在だが、すでにリタイアして年金暮らし。住宅資金などの経済的援助はもちろん、家事や育児のサポートは難しかった。

住宅購入後に生活は一変。こんなはずじゃなかったのオンパレード

何から何まで違う、Aさんと自分たちとの差を痛感した田村さん夫婦だったが、それ以上に打撃を受けたのが、住宅購入後の家計や生活の変化が予想をはるかに超えていたことだ。

以前より、支出が大きく膨らんだのである。

ローン返済(月12万円)だけみるとこれまでの家賃とほぼ同じ額だったが、住居費はそれだけではない。住宅購入後は、固定資産税や都市計画税(一部地域では必要)がかかるし、マンションの場合、毎月、管理費や修繕積立金などの維持費も必要だ。

狭い賃貸から広いマイホームになれば、水道光熱費などもアップする。頻繁にホームパーティーをするようになったので、食費や交際費もかさむし、インテリアや日用雑貨にもお金をかけたくなる。おしゃれなAさん宅を見た後ではなおさらだった。

しかも、子育てしやすい環境が気に入って選んだだけに、周囲の同世代の親も教育熱心で、英会話やスイミング、ピアノ、バレエ、幼児教室など、幼児期から習い事をさせている家庭がほとんど。