やっと気がついた誰かとともに歩む喜び


融資フロアで部下を指導する傍ら、接客も行う鈴木さん。トップ営業マンのギラギラしたイメージはなく、穏やかな笑顔だ。

鈴木さんは今、青山支店(東京・港区)で若手営業マンを率いる立場についている。主に、社長など実権者との面談にこぎつけたとき、帯同訪問で「トップとの折衝する際の基本を見せる」という形で指導を行う。

「大切なのは、最初に上司が部下に成功体験を与えてやることなんです。それがモチベーションとなって、さらに成長できるわけですから」

新人の頃、尊敬していた上司をお手本に部下一人一人に寄り添い、自らが入行2年目で味わった新規獲得の醍醐味を全員に体験させたいと願っている。

「若いうちは、とりあえず訪問の回数を大切にしていいけど、少しでも『有効訪問』に徹せよと指導しています」

有効訪問とはなんらかの成果が得られるような訪問活動のことだ。例えば初回の飛び込み訪問では門前払いされても、その会社の場所を確認できただけで有効だと鈴木さんは語る。

「しかし次回が初回と同じでは有効にならない。とりあえず中に入れてもらって何らかの情報を頂戴するとか、経理担当の方と名刺交換して、アポイントを頂戴すべき方の名前を教えていただくとかしないといけません」

そんなふうに少しでもステップアップしていくような訪問活動の努力を払えば、目指すゴールへと着実に近づいていくことができるという。慣れない飛び込み営業の辛さは百も承知だが、「社長面談にこぎつけるまで、相手企業を調べて、とにかく愚直に訪問しろと声をかけます」。