2つ目の「デマンドの理解」とは、利用者の環境を理解することで、たとえば、補助を必要とする人なのか、突発的な発作などで緊急性を要しているのか、インフルエンザなどの感染症にかかっているかなど、それぞれの利用者の状況まで理解して移動ルートの選択、提供を行うことができる頭脳をもったプラットフォームを目指しています。
参加企業は飲料メーカーに鉄道、ホンダ・マツダまで
3つ目の「自治体連携・まちづくり」では、すでに全国17自治体と次世代のモビリティサービスの提供について連携しており、約150の自治体とも連携を進めていると言います。予想以上に自治体からの問い合わせが多いということは、新交通システムや新物流システムへの期待、それを実現してくれるであろうMONETへの期待が大きいことの表れでしょう。
4つ目の「サービスの共創」としては、「MaaSの世界でどんなビジネスが社会から求められるのか、正直我々もすべてを予見できているわけではない」とし、仲間づくりの場として「MONETコンソーシアム」を2019年3月に設立。この設立段階ですでに、コカ・コーラやサントリー、JR東日本など、88社が参加しています。
また、同日、ホンダと日野自動車がそれぞれ約2.5億円をMONETに出資することを発表。さらに、いすゞ自動車、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、マツダの5社がMONETに出資し、約2%の株式を取得することが6月に発表されました。
「eパレット」は東京五輪でヒットするか
これにより、MONETプラットフォームには、日本の自動車メーカー8社の車両やモビリティサービスから得られるデータが連携されることになります。データが多くなればなるほど、それだけ高度なプラットフォームを構築できることになり、それがまた高度なサービスの提供にもつながります。
今後も、様々な日本企業が加わる可能性もあり、ソフトバンクとトヨタが「日本連合」でMaaS以降の世界のプラットフォーマーになるために、MONETを設立したことがわかるでしょう。
MONETサミットのなかで宮川社長は、MaaSが爆発的に普及する鍵は自動運転車『eパレット(e-Palette)』である、とも述べています。eパレットは、2018年1月の「CES(Consumer Electronics Show)2018」で初公開された、MaaS専用の次世代EVのコンセプトカーです。トヨタは、このeパレットを2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに走らせることを目指しており、どのようなサービスを実際に提供できるのか、筆者も注目しています。