トヨタから見れば、同社の次世代自動車産業におけるレイヤー構造の下層に顧客接点としてのスーパーアプリ「ペイペイ」「LINEペイ」が加われば、強力なエコシステムを構築することができるでしょう。CASEの1つ「コネクテッド化(スマート化)」という重要ファクターにおいて大きな差別化になることは確実です。

GAFAにも匹敵するプラットフォームが生まれるかも

田中道昭『ソフトバンクで占う2025年の世界』(PHPビジネス新書)

次世代自動車産業においては、「サービスがソフトを定義し、ソフトがハードを定義する」ことになります。とすれば、研究開発費の量と質でグローバルのトップレベルにあるトヨタ自動車が、自社グループ内に存在する強力なサービスを基点にソフトやハードを生み出すことができれば、GAFAにも匹敵するような大胆なプラットフォームが企業連合から誕生する可能性もあるのではないでしょうか。

つながるクルマ。AIが運転手となりハンドルがないクルマ。シェアされるクルマ。EV化されたクルマ─。これらが実現したのちの次世代自動車産業の姿を、想像してみてください。狭義の自動車産業自体は縮小するかもしれない。でも広義の自動車産業は、これまでの自動車産業をはるかに超える規模になる。「クルマ×IT×電機・電子×金融×その他」がオーバーラップし、掛け合わされる巨大な産業になる。そこにサービスほか周辺の関連産業まで加えるならば、全産業を巻き込むものになると言っても過言ではないでしょう。

さらには、やはり日本の強みは製造業での真のデジタルトランスフォーメーションにあり、それを基軸とした複数産業での再編にこそ「米中に次ぐ第三極」となる可能性があると筆者は予想しているのです。

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