赤字続きの「落ちこぼれ集団」だった武蔵野を、社長として立て直した小山昇氏のもとには、いまもコンサルティングを希望する中小企業が列をなしている。中小企業を潰さないためにはなにが重要なのか。近著『会社を絶対に潰さない社長の「金言」100』(プレジデント社)より、そのノウハウをご紹介しよう。第1回は「借金」について——。(第1回/全3回)
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金言1:無借金経営は会社を潰す

優秀な社長は積極的に借金をする

現金は会社の血液です。どんなに儲かっていても、現金がなければ給料も払えず、支払いもできません。リーマン・ショックのあと、多くの老舗が黒字倒産しました。その原因は、無借金経営にありました。売掛金や棚卸資産の増加で資金繰りが悪化し、現金が不足してしまった。

銀行から借りればいいのに、と思うかもしれません。しかし、一度も借入れ実績のない会社が、急に融資を申し込んできたらどうでしょうか。何か問題があるのではないかと、銀行は警戒します。また金融機関にも資金の枠があるから、融資・返済の実績のある会社とない会社から融資を申し込まれたら、前者を優先するのは当たり前です。

一般的に「借金はしないほうがいい」「無借金経営を続けている社長は優秀だ」と考えがちですが、まったくの誤解です。優秀な社長は、会社を潰さないために積極的に借金をして、無借金にならないように心がけます。銀行から融資を受け、きちんと返済して実績をつくる。それがいざというときに困らない「倒産しない仕組み」のひとつです。

増収増益のわが社が「必要のない借金」をしているのも、「いざというときの備え」です。借金ができる「信用」そのものが財産になると考えています。