顔認証でチェックイン、ロボットバーテンダーも

アパレルショップでは、「バーチャル・フィッティング・システム」が備えられており、いろいろなコーディネートが提案され、気に入った商品はオンラインのネット空間で購入。商品は自宅に送られるので荷物がかさばることも、レジに並ぶ必要もありません。

ホテルのロビーでも、設置された端末やスマホで自分の顔を撮影し、専用アプリで決済すればチェックインが完了。エレベーターも部屋に入室するのも顔認証で、ルームサービスを頼むとロボットが品物を運んできてくれます。ホテルのバーでカクテルをつくるのもロボットバーテンダーでした。また、ゲートを通過するだけで見られるチケットレス映画館、無人のカラオケ店などもありました。

シェアリングサービスに至っては、世界的な価値観になりつつあります。地球温暖化はグローバルな問題であり、CO2削減は待ったなしです。大切なのは、サステナビリティであり、そのためのシェアリングサービスと考えると、これも自動車に限ったことではなく、全産業が「所有から利用へ」の流れのなかにあります。電動化の電気も、サステナビリティを考慮すれば、石炭や石油などの旧来のエネルギーで発電するのではなく、再生可能な自然エネルギーで発電することが重要になっています。

このようにCASEは今や、自動車産業に限った中長期戦略ではなく、全産業が取り組まなければならない課題になったと言っても過言ではないのです。

LINEを持つソフトバンク×トヨタ連合の勝機は

最後に、ヤフー・LINEの経営統合にかかわる観点から、「MONETプラットフォーム」の戦略上の重要性について述べておきたいと思います。

11月に発表されたヤフーとLINEの経営統合によって、利用者数1億人超の巨大グループが生まれることになります。実際、共同CEOとなる両社社長は「米中に次ぐ第三極を目指す」という大胆なビジョンを提示しています。しかし残念ながら、2社の経営統合後のソフトバンクグループ全体で見るとしても、時価総額、研究開発費、顧客規模などどれをとっても「米中に次ぐ第三極」には到底届かないことは否めません。

そこで、筆者は、日本が「米中に次ぐ第三極」に成り得るきっかけは2社統合が起こす「すべての産業の秩序と領域を定義し直す戦い」の中にある、そしてその再編の中核こそ、ソフトバンクグループとトヨタとの連携にあると考えています。その意味で、ソフトバンクとトヨタが構築した「MONETプラットフォーム」の重要性がさらに増していくことは必然でしょう。