消費増税の影響を受けなかった3つの業種

まず小売全体は7.1%減になった一方で、それほど売上が下がらなかった業種が3つあります。

1つは飲食料品小売業で、売上は前年同月比2.2%減にとどまっています。これにはわかりやすい理由が2つあります。

1つは今回の増税で食料品は増税の対象外となって8%の税率が維持されたこと。増税していないので売上減が少ないということです。そしてもう1つは食料品は生活必需品であるということ。買わないわけにはいかないので、その分減り方も少ないということです。

ただ増税の影響で消費者が財布のひもをしめる際、当然のことながら消費行動としては贅沢をなるべく避けることになるので、食料の売れ行きは無傷というわけにはいかない。10月は少しマイナスになったことを考えると、安心するのはまだまだ早いと私は思います。

そもそも食品については消費増税以降、節約志向が高まると予想されていました。今回10月時点で「増税していないのに売上が減っている」という結果が出たことは、今後、生活が苦しくなってくるとさらに食品の節約志向が高まることを予感させる要注意情報だと考えたほうがいいでしょう。

ドラッグストアの食品売上がプラスになったワケ

2つめの業種はドラッグストアで、売上は前年同月比0.1%増と減っていません。これも予想の範囲内です。とくに処方薬を含めた医薬品に対する支出は減らすわけにはいきません。小売販売額に影響がなかったというのはわかりやすい結果だと思います。

ただこの点でもうひとつ深掘りすると面白い結果が見えてきます。それはついで買い効果がみられるという点です。

ドラッグストアでは調剤医薬品が8.9%増、増税の影響しない食品が7.4%増と、2つの主力商品が売上維持に大きく貢献しています。逆にトイレタリーや化粧品、ペット用品などの売上は減っています。しかしその減り方が小売業全体と比べると少ないという傾向が出ているのです。

もともと雑貨について、スーパーよりも安いイメージがあるのがドラッグストアです。だから今回スーパーやホームセンターの売上がドラッグストアに流れた。それに加えてさきほど触れたように食料品を本業とする小売店がマイナスだったのにドラッグストアの食品は大きくプラスです。

こういった点から、不景気な時代がくればドラッグストアは業態的には成長するのではないかという未来がなんとなく予感できるところが面白いと思います。