うつ病には男女で異なる対処が必要
ちなみに、男女ではうつになる原因の傾向にも違いがありますし、何とか脱出をはかろうとするときに選択するストレス解消法にも違いがあります。
原因となるストレスや悩みは、男性はたいてい仕事がらみですし、女性は圧倒的に人間関係がらみが多い。
それに、たまったストレスを解消しようとするときには、男性はスポーツ、ギャンブル、ゲームなど、テストステロン系の行動で発散しようとする傾向が強く、女性は親しい人と長時間おしゃべりをしたり、甘いものや炭水化物などのヤケ食いに走ったりする傾向が強い。
おしゃべりをしたり甘いものや炭水化物を摂ったりすると一時的にセロトニンが高まるため、女性たちはこれらの行動をとることで心身の安定を取り戻そうとしているわけです。
とにかく、うつ病ひとつとっても、男女でこんなにも傾向の違いがあるのです。だから本当は、うつ病の人に対しては、男性には男性向けの対処の仕方をし、女性には女性向けの対処の仕方をしていかなくてはならない。脳を衰えさせないため、うつ病を乗り越えていくために、ぜひみなさんも頭に入れておいてください。
女性は冬になるともの悲しさやイライラを感じることも
うつ病の性差傾向についてもう少し続けましょう。男性にはほとんど見られない傾向ですが、女性の場合、季節によってうつ病になりやすさが違ってきます。
女性がうつ病に見舞われやすくなるのは冬。みなさんは「冬季うつ病」という疾患をご存じでしょうか。
これは、毎年冬になると、理由もなくもの悲しい気分になって軽度のうつ症状が現われてくる現象。「ウィンターブルー」「季節性気分障害」などとも呼ばれる“冬限定のプチうつ”です。
症状は「もの悲しさ、寂しさ」「落ち込み」「イライラ」「意欲低下」など。また、甘いものが無性に欲しくなって過食気味になったり、どんなに寝ても眠気がとれず、過眠になったりする場合もあります。
なかには、食べてばかり、寝てばかりいるためにどっと太ってしまい、自己嫌悪感をつのらせて家に引きこもってしまう女性も少なくありません。
こうした不調が現われてくるのは、だんだん日が短くなり、木枯らしが吹いてぐっと寒くなる晩秋あたり。もちろん冬の間はずっとうつうつとした不調の日々が続きます。
ところが、春になり、気温が上がって日差しがやわらかくなってくると、自然に一連の症状が治ってしまうのです。そして、春、夏が過ぎ、秋になって冬が近づいてくると、また次第に気分が沈みだす……。これが毎年のように繰り返されるわけです。