24時間動員体制は続いており、「対応に問題」とする根拠は乏しい
「私から一連の説明を受けたうえで、『それでも、市民としては災害警戒本部ではなく災害対策本部だったほうが安心感を持てますよね』という質問を何回も繰り返し、同意をうながすテレビ局もありました。もし私が『そうですね』と答えていたら、その一言を切り取ることで、私が市側の不備を認めたような印象に持っていきたかったのでしょう」
そのときの素材を使ったテレビニュースは、やはり「千葉市の対応に問題があった」という論調で報じられたという。
事実としては、千葉市は台風15号が上陸した9月9日午前5時から間もなく災害対策本部を立ち上げ、避難所設置などの準備に入っているので、国や千葉県はともかく千葉市に関しては「初動の遅れ」はなかった。さらに、地域防災計画に基づき災害対策本部を一時、災害警戒本部に移行していたが、その間も職員の24時間動員体制は解いておらず、「対応に問題があった」とする根拠は乏しい。
以下、熊谷氏がSNS上に発信した文に基づき、台風15号上陸時の経緯をまとめてみる。
警報解除に伴い、災害対策本部から災害警戒本部に移行
・台風15号が上陸し、土砂災害警戒情報が発令されたことを受け、9月9日5時過ぎに危機管理監より私に入電。私は災害対策本部の設置を指示し、避難所の開設など必要な対応を行いました。
・そして災害対策本部員会議を2度開催し、被害状況を把握するとともに、人命を最優先に行動すること、停電によって生命維持が危ぶまれる高齢者や障害者をケアすること、倒木の処理など、各組織に必要な指示をしました。
・その後、各警報や土砂災害警戒情報の解除に伴い、地域防災計画の規定に基づき災害対策本部から災害警戒本部に移行。ただし24時間体制の人員体制は維持し、引き続き災害対応を行っており、形式的な体制移行によって災害対応に違いは発生していません。(時事通信を含む各社の)取材に対して危機管理部門は何度もそう説明したのですが、その部分は(記事には)記載されませんでした。
・災害対策本部も災害警戒本部も人員を動員できますが、災害対策本部のほうがより動員比率が高いという違いがあります。なぜ動員比率が高いかというと、それは大地震発生時のように市内で大規模な家屋倒壊などの被害が出て、多くの避難者が溢れ、避難所運営に相当の人員を動員する必要があるというようなケースを想定しているからです。今回の災害は長期停電という極めてやっかいな特殊災害ではありましたが、避難者数は最大でも数百人で避難所運営のためにすべての職員を動員する必要はありませんでした。