「日朝関係への影響を総合的に考慮した」

見出しも「北朝鮮漁船衝突 監視態勢を強化し権益守れ」である。監視だけでは北朝鮮という、ずるく、したたかな国家を相手にするには作戦不足である。

読売社説は「政府は今回の漁船について、違法操業が確認されなかったとして、乗組員の身柄を拘束しなかった。今後の日朝関係への影響を総合的に考慮したのではないか」とも書くが、「総合的に考慮した」などと評価している。読売社説はやはり安倍政権擁護から抜け出すことができないようだ。

読者のひとりとして沙鴎一歩はそれが悲しくてならない。ジャーナリズムである以上、政権を正面から批判する精神が必要である。

最後に読売社説は主張する。

「非核化を巡る米朝実務者協議は、膠着状態にある。米国が協議の継続を求めたのに対し、北朝鮮は『決裂した』と主張している。完全な非核化を回避しようとする姿勢は、相変わらずだ」
「北朝鮮が経済を再建するには、核を放棄し、制裁の解除につなげるしか道はない。金正恩政権はその現実を自覚するべきだ」

沙鴎一歩も金正恩氏にこう言いたい。核・ミサイルの開発中止が国を潤す、と。幼い頃から海外で高度な教育を受けてきた金正恩氏には、それが分かっているはずだ。

「自国の食糧事情を直視し、非核化の道を進むべきだ」

東京新聞(10月8日付)の社説は「北漁船が衝突 生活向上には非核化を」との見出しを掲げ、こう指摘する。

「食糧問題解決のためには、国際社会からの支援を受けることも重要だ。しかし、北朝鮮への支援は逆に先細っている」
「これは、核開発やミサイルの発射実験によって、国連安全保障理事会から厳しい経済制裁を科せられていることが影響している」

北朝鮮がいまの経済難から脱出すには核・ミサイル開発を止めて国際社会からの制裁を解く以外に道はない。

東京社説の「自国の食糧事情を直視し、非核化の道を進むべきだ」という最後の訴えはよく分かる。金正恩政権は国民の生活を直視すべきだろう。

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