韓国の先行きが非常に心配だ

左派政治家である文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、わが国との関係をこれまでで最悪といわれるまでに冷え込ませてしまった。文氏は、自らに批判の矛先が向かわないよう対日強硬姿勢を強めているように見える。実際に同氏がわが国を強く批判すると、大統領支持率は上向く傾向があるようだ。

ただ冷静に考えると、日韓関係の悪化は韓国経済にとって大きなマイナスというべきだろう。

写真=時事通信フォト
サムスン電子が家電見本市「IFA」で報道陣向けに公開した折り畳み式スマートフォン「ギャラクシー・フォールド」=2019年9月5日、ドイツ・ベルリン

日韓経済の歴史を振り返ると、サムスン電子をはじめとする韓国の大手企業は、わが国の技術や人材などを活用し競争力を高めてきたともいえるからだ。そのことに自覚的だからか、韓国の有力企業は、わが国企業との関係強化に動き、海外進出を推進することも増えている。文大統領が対日強硬姿勢をとり、自らの立場を守ろうとすればするほど、企業経営者は文政権への懸念を強め、海外に活路を見いだそうとする姿勢を強めるだろう。この状況が続くと、韓国の産業基盤は弱体化し、国全体の活力が落ち込んでしまう。他国のことながら、韓国の先行きが非常に心配だ。