すべての責任を一人だけに負わせて幕引き?

国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」内の企画展「表現の不自由展・その後」の中止を受け、愛知県が設けた第三者組織「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」(座長=山梨俊夫・国立国際美術館長)が9月25日、中間報告(PDFリンク)を公表しました。

その内容は、芸術監督の津田大介さんの責任を強く問うもので、左派系ジャーナリストとして著名な津田さんが、まるで個人の野心のために今回のあいちトリエンナーレを私物化したと言わんばかりの内容になっています。

写真=時事通信フォト
記者会見する国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」芸術監督の津田大介さん=2019年9月2日、東京都千代田区の日本外国特派員協会

さらには、この検証委員会の一通りの結論を待っていたのか、文化庁は愛知県に対し、あいちトリエンナーレ全体に対する補助金を交付しないと発表しました。

どっちを向いて仕事をしているのだ文化庁、と言いたいところですが、政治って本来こういうもんなんだろうなとは感じます。何しろ、後出しジャンケンも同様に申請の内容に不備があったとして、全体予算、展示面積でもごく一部しか使っていない「表現の不自由展」の展示物に対する説明が不足していたなどの理由で交付金7800万円全体が不交付となる見込みというのはさすがに常軌を逸しているように思います。

筆者自身も、津田大介さんに対して思うことや言いたいことはいろいろありますが、話の筋論として、これらの責任を津田さん一人におっかぶせて幕引きを図るというような方向でいいのか、という懸念はどうしても抱かざるを得ません。