伴侶の親を扶養家族に入れよう
通信費と保険料の見直しで2万4000円程度支出を削れば、赤字は解消でき、貯蓄に回す額も増やせる。
さらに大きな効果を期待できるのが、「親を扶養家族にすること」だ。
専業主婦や高校生、大学生の子どもを扶養すると、収入から一定額を控除する「扶養控除」が受けられる。控除によって所得が減れば、税負担が軽くなる。
専業主婦の妻や子は忘れることなく扶養家族にしていると思うが、親の年金収入が一定額以下で、親を経済的にサポートしているという場合は、親も扶養にできる。菅田さんのように同居しているケースだけでなく、別居でも、定期的に仕送りするなどをしていれば対象になる。
親が65歳以上で収入が年金のみなら、年金が158万円以下であることが要件となる。
控除額は、親が65~70歳未満か70歳以上か、また70歳以上では同居か別居かで異なり、65~70歳未満では所得から38万円(住民税は33万円)が控除される。70歳以上では、同居のケースで58万円(同45万円)、別居で48万円(同38万円)である。
菅田さんの義母は76歳、年金収入は158万円以下で、菅田さんは生計を共にしていて、扶養家族にする要件を満たしている。「実の親」という要件はないため、控除を受けることができるのだ。
税負担の軽減額は、親の年齢や控除を受ける人の年収などによって異なる。年収720万円の菅田さんのケースでは、所得税が約6万円、住民税が4万5000円安くなる。年間で約10万5000円もの負担軽減で、効果は大きい。参考までに、菅田さんが義母と別居なら軽減額は約8万7000円、義母が65~70歳未満なら約7万9000円となる。
節税効果は税率が高い人ほど大きく、もし年収300万円の妻が母親を扶養家族にすると、軽減額は約8万円にとどまる。夫婦のうち年収の高いほうが控除を受けるといい。
会社員は扶養家族の人数に応じて給与から税金が差し引かれているので、控除を受けるためには、勤務先に義母を扶養していることを届け出る必要がある。届け出後は、税額が減るので、毎月の手取りが多くなる。
もう1つポイントとして挙げたいのは、過去に払いすぎた税金も手続きをすれば取り戻せる、ということだ。確定申告の「更正の請求」という手続きをとれば、過去(2012年以降は最長5年間)に払いすぎた分が戻ってくるのだ。
菅田さんは数年前から義母を経済的にサポートしており、戻る額は5年分で約63万円程度と見込まれる。更正の請求をするための申告書は国税庁のホームページからダウンロードでき、確定申告シーズンでなくても申告できる。