成績が伸びる過去問のやり方、落ちぶれる過去問のやり方
それでは、単元別の学習をある程度終えた場合、ひたすら過去問を解けばいいのか? 答えは、「否」です。受験対策には個人差があり、これが100%正解というものはありませんが、それでも過去問演習でやりがちな失敗を回避することが重要です。そのポイントを以下にまとめました。
〈過去問のやり方失敗談あるある〉
①取り組むタイミングが遅くて、最後まで終わらない。
②志望順位の低い大学からやり始めた結果、志望順位の高い大学が手薄に。
③各科目の特性を考えないで過去問に取り組む。
④やりっぱなしでアフターケアをしない。
⑤目的意識を持って勉強していない。
まずは、①「取り組むタイミングが遅くて、最後まで終わらない」について。
これは多くの生徒がやりがちな失敗です。過去問を解くのに1教科につき60分、80分、90分などかなりの時間を要します。それに復習の時間が加わる。それを、複数の教科でこなしていかねばならない。しかも、複数校で……。「過去問は年明けからで間に合うだろう……」などという見込みは、かなり甘いと言わざるを得ません。まだ着手していない人は、今すぐにでも取り組むべきでしょう。
次に、②「志望順位の低い大学からやり始めた結果、志望順位の高い大学が手薄に」はどうでしょう。
過去問の取り組みを〈志望順位の低い大学・学部→高い大学・学部〉という順でやっていく受験生は多いです。このタイプは「志望の順位が低いほど、自分にとっては簡単な問題で、高くなるほど難しくなる」と考える。だから、「基礎的なところから始めて、発展的なところは後回しに」という流れになります。
しかし、「志望の順位が低いほど問題は簡単で、高くなるほど難しくなる」は必ずしも正しくありません。たとえば、昔から「現代文が難しい」という評判の早稲田大学でも、社会科学部や商学部、人間科学部などの現代文は、年度による違いはありますが、極めて基礎的な読解力が問われています。
つまり、そんなに難しくはない。対して、東洋大学や國學院大學の文学部は、年度によってはかなりハードな問題を出題します。志望順位と難易度の相関はあまり考えないほうがよいのです。これは僕の専門である現代文以外の科目にもあてはまる可能性があります。