セミを狙うカマキリ、その背後に……

いずれ、習政権と上海閥が香港の権力掌握を巡って雌雄を決するときが来るであろう。そのとき、香港市民が求める自由と民主化への叫びは、強大な権力を持った二つの大陸系利権集団の闘争の中で永遠についえることになる。そんな未来を見越したように、香港市民による海外移住申請が急増している(ロイター通信、2019年9月13日 "Hong Kongers troubled by unrest look for new homes abroad")。

今の香港情勢の背後にあるこれら両サイドの本音は、「先に手を出した方が負け」だが「相手が先に出すのを待っている」という状態だ。その動きを背後からじっくりと眺めているのが、トランプ陣営ということになる。中国の故事成語「螳螂捕蝉、黄雀在后」になぞらえると、「セミ(上海閥)を狙うカマキリ(習政権)の後ろからカナリア(トランプ陣営)が狙っている」という状態だ。

かつて中央情報局(CIA)が、天安門事件から命からがら逃れた民主化学生らの海外逃亡を支援した「黄雀作戦」は、香港を拠点として行われた。同じ香港で今、習近平政権と上海閥を狙ったもう一つの「黄雀作戦」ともいうべき、トランプ氏による対中攻略作戦が進行中だ。しかしこの「新・黄雀作戦」は、香港の民主化運動には一切無関心でもある。

トランプの「新・黄雀作戦」が今後どのように展開するかはわからないが、このままだと「カマキリがセミを捉える」のは時間の問題のように見える。いずれにせよ、急速に「中国化」していく香港の混乱の行方が、今後の米中関係に大きな影響を与え、その余波がやがて日本にも襲いかかってくることだけは間違いあるまい。

(終わり)

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