公的機関より頼りにしている道民は少なくない

セイコーマートの特徴は3つある。まずは北海道に特化し、北海道では生活インフラになっていること。毎日のように使う人も多く、公的機関よりも頼りにしている道民は少なくない。

2番目は原料の生産から開発、製造まで自社で行う商品を数多く有すること。農業生産法人、水産加工会社、食品・飲料製造会社などを持ち、そこが作った商品をSecomaブランドとして店舗に並べている。しかも、値段はあくまでリーズナブルである。

3番目は物流を効率的にしていること。道内の主要12カ所、本州4カ所の物流センターを拠点に、独自に構築してきた物流ネットワークを活用している。同チェーンの商品を輸送するだけにとどまらず、雑誌や新聞などの専門業者が運んでいた商品も自社の物流ネットワークに載せている。

同チェーンを運営するセコマの本社を訪ねる前、そのビルの1階にある店舗で買い物兼取材を行った。前述のようにセイコーマートは北海道産の素材を使った食品、菓子などをたくさん置いている。インバウンド客や国内の他の地域からやってきた客は北海道の物産を買うためにセイコーマートを利用しているのである。

地元で人気なのは「ホットシェフ」と「ワイン」

撮影=石橋 素幸
店内で調理する「ホットシェフ」のコーナー

わたしが土産に買ったものは次の通り。

山わさびのカップ麺、山わさびのスナック菓子、鮭とば、干したら、道産牛乳を使ったミルクキャラメル。空港の物産店や土産物店で買うよりも安いからありがたい。また、同チェーンには「ホットシェフ」という店内調理の弁当、おにぎりがある。わたしは北海道に来てビジネスホテルに泊まる際、朝食はホテルのビュッフェではなく、セイコーマートのカップ麺とホットシェフの弁当を選ぶことにしている。なんといっても、北海道に来たんだなという実感がするし、値段もビジネスホテルの朝食より安いからだ。

同社広報部部長の佐々木威知に尋ねたのは「ホットシェフで人気メニューは何ですか?」である。

「カツ丼と、大きなおにぎりです」(佐々木)

ああ、それも買って帰りたいなあと思う。さらに尋ねる。

「ジンギスカン弁当とか作らないんですか?」

佐々木部長は、待ってましたとばかりに答える。

「今年、作りました。いや、すごく売れたんです。観光客をメインターゲットとして開発したのですが、地元の人に大人気で。北海道の人ってジンギスカンが好きなんですね。ホットシェフ以外で、地元の人に人気なのはワインです。当チェーンでは種類を扱っている店舗が多く、特にワインの品ぞろえがいいんです。

外国からの観光客が買うのは果物ですね。りんご、みかん……。日本の果物ってものすごくおいしいようで、果物をたくさん買っていかれます」(佐々木)

撮影=石橋 素幸
地元の人には「ワイン」も人気だ

店頭で感じたことは、ひとつである。

「セイコーマートを他のコンビニチェーンと同列で語るのは間違いだ。同チェーンは置いている商品が一般のコンビニとはまったく違う」