「大手がやっていることは、うちはやらない」
同社代表取締役社長の丸谷智保は、とてもわかりやすい表現で「コンビニの本質は何か」を語れる人である。
「確かに、うちは他のコンビニとは違います。まず、他のコンビニ本部は経営コンサルタント業といえます。フランチャイズを経営指導してフィーを得る。元々はうちもそれで始まったけれど、だんだん切り替えて、今では直轄店(グループ直営店)が圧倒的に多い。当チェーンは小売店の集積であり、他とはビジネスの形態が違うんです」(丸谷)
ちなみに、大手のコンビニとセイコーマートの直営店比率は次の通りだ。
・セブン-イレブン:1.81%(2018年度、国内)
・ファミリーマート:2.71%(2018年2月末、国内、ファミマ+サークルKサンクス)
・ローソン:2.37%(2018年2月末、国内、ローソン+ナチュラルローソン+ローソンストア100)
・セイコーマート:80%(2019年4月25日)
数字を見るとよくわかる。セイコーマートは製造から販売までを手がける会社で、直営小売店の集まりだ。一方、大手コンビニは小売店に経営指導をする会社である。
丸谷は「大手コンビニと同じことはできない」と言う。
「たとえば、簡単な例では、おでんをやらない、恵方巻もやらない。大手がやっていることは、うちはやらない。大手ができないことをうちはやっていく。そうして、アイデンティティを高めていく」(丸谷)
自社物流だから過疎地域にも店舗を出せる
丸谷が「同じく、うちの独自性だ」と語ったことがふたつある。効率的な自社物流と地域密着サービスである。
「まず小売りチェーンに限らず、今、日本全体でもっとも重要なことは『物流をどう維持するか、効率化するか』です」(丸谷)
それはどういうことですか?
「北海道は日本の面積の4分の1を占める地域です。それなのに人口は約500万人。つまり、人口密度はすごく低い。町から町、店から店への距離が長いから物流効率が非常によくない。その物流効率をよくするために、創業以来、自社で物流を担っています。自社物流のシステムがあるから北海道の過疎地域へも店を出すことができる。物流業者に頼んだら、コストが高くて、商品をどこでも同じ値段では販売できません。
たとえば当チェーンでは店と店の間が37kmも離れているところがあります。首都圏でしたら、東京から神奈川の戸塚までの距離に値するわけです。もし首都圏で37km半径の地域であれば大手のコンビニだけで6000店舗はあるでしょう。そういうところに、うちは2店舗しかない。それほど非効率な区域であっても、雑誌なども含めて店舗内の商品のほとんどを運ぶという流通システムを整備してきたのが当社の物流システムです」(同)