親からの仕送りゼロで医者になれる超お買い得なコース
これは「医師免許取得後9~11年間、指定された地域で働くことを条件に、一般入試とは別枠で合否判定し、義務年限を終了すれば返済不要の奨学金を支給する」という入試制度である。
2008年頃よりこの地域枠入試の募集人数が拡大し、2019年の入試では、枠の多い大学で、札幌医科大学(北海道札幌市・公立)が90人(定員110人)、東北医科薬科大(宮城県仙台市・私立)が55人(定員100人)を地域枠に充てている。現在、全国の医学部総定員9419人中の15~18%が地域枠と推測されている。
地方大医学部「地域枠」の偏差値が低下し始めたワケ
しかしながら、近年は「地域枠の足抜け」の問題もクローズアップされている。
医学部の入試には面接もあるが、その際、受験生が「地域医療に貢献します」とアピールしたにもかかわらず、卒業後は、指定された地域で働く約束を反故にし、もらった奨学金も一括返金して東京の病院に就職するケースが増えているのだ。
その対策として厚生労働省は「地域枠医師を採用した都会の病院は補助金カット」という荒業に出た。実際、2019年には東京医大が「茨城県地域枠医師を大学病院本院(東京都新宿区)で採用した」ことが発覚して、補助金を大幅に減額された。これにより、地域枠出身医師は東京都内のメジャー病院に就職することが厳しくなった。
卒後9~11年の進路や居住地を厳格に制限される時代になったことにより、国公立大医学部でも「地域枠」入試の偏差値は、中堅私立医大を下回るケースが続出している。これは「医者になれるなら地方勤務OK」の学生にとってはラッキーなことだ。偏差値が下がり、奨学金がもらえれば親からの仕送りゼロで医者になれる超お買い得なコースとなるからだ。
今回は、「一般家庭から医師を目指す奥の手」の2019年編として、地方医大を受験するコツ、とりわけ地域枠の攻略法を伝授したい。