モノとプラットフォームを組み合わせて戦略

今後、日本のメーカーが再び輝きを取り戻すためには、これまで苦手としてきた企業戦略の部分、具体的には市場環境の変化に柔軟に対応する「ダイナミック戦略」の強化が不可欠です。競争戦略理論の古典であるポーター理論では、コストリーダーシップ戦略と差別化戦略は二律背反とされていますが、その両方を柔軟に組み合わせることは可能です。安くて品質がよく、ブランディングも巧みなユニクロは、その好例でしょう。また、GAFAのようにモノではなくプラットフォームベースで戦略をつくっていく、あるいはモノとプラットフォームを組み合わせて戦略を立てる方向もあるはずです。

そのためには、サムスンのように戦略立案に特化した参謀本部をつくるのも1つの手です。また、コーポレート・ガバナンスを強化して、前社長の戦略が惰性で継続されるような状況を防ぐことも必要でしょう。少なくとも中堅レベル以上の社員が競争戦略を理解するような土壌ができれば、そうした社員に見られている経営陣の緊張感も変わり、日本企業の戦略力は大きく向上していくはずです。

(構成=川口 昌人)
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