勘定項目別に分解すると見えてくる
そこで今度は、積水ハウスの資産をヨコに切ってみよう。つまり、勘定科目別に資産を分解するのだ。すると、資産全体の大部分は棚卸資産と有形固定資産で占められていることが判明する(図表4参照)。
つまり、都市再開発事業と国際事業に属する資産のほとんどが、棚卸資産と有形固定資産だと分かる。
有形固定資産については、有価証券報告書の「設備の状況」を見れば、会社が保有する主要な有形固定資産が各セグメントとひも付けられて載っている。そのため、セグメント別の有形固定資産の金額を差し引くことで、セグメント別の棚卸資産のおおよその金額が割り出せる。
「設備の状況」によれば、有形固定資産のうち少なくとも3711億円は都市再開発事業に属する。それ以外の有形固定資産は、本社ビルや工場などが主で、国際事業に属する有形固定資産は、中国子会社で持っている150億円ぐらいしかない(図表5参照)。
要は、積水ハウスの棚卸資産1兆1000億円のほとんどが、国際事業で抱えている在庫だと考えられる。
言い換えると、積水ハウスの棚卸資産回転期間を長期化させている要因は、国際事業にあるといって間違いないだろう(図表5参照)。
では、巨額に積み上がった国際事業の棚卸資産は、いつ頃から増えていったのだろうか。セグメント資産の推移を見てみよう(図表6)。
国際事業のセグメント資産(≒棚卸資産)が急速に膨らんでいるのが見て取れる。2011年1月期はわずか857億円しかなかったが、その後は徐々に資産が膨れ上がり、2019年1月期には9436億円と、かつての10倍以上に増加しているのである。