サザコーヒーがパナマゲイシャを淹れる際は、世界トップレベルのバリスタが腕を振るう。先日のイベントでは、同社社員の飯高亘さん(2018年ジャパンバリスタチャンピオンシップ5位)、元川千鶴さん(2010年ワールドサイフォニストチャンピオン)、太郎さんと親交のある岩瀬由和さん(2016年ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ2位)たちが集まった。
たとえ資本力で落札しても、焙煎・抽出をきちんと行えなければ、おいしい1杯は提供できない。「高い豆のはずなのに、大したことないな」という誤解も生まれかねない。希少な豆の扱いには、本来は豊富な知識と高い技術が伴うのだ。
週末のカフェ代は2倍近く増えている
最後に少し引いた視点で見てみよう。2017年6月、総務省統計局は「家計ミニトピックス」という解説資料を発表している。
それによれば「1世帯当たりの喫茶店支出額は増加傾向」にあり、「2016年は10年前に比べて17.2%増」になったという。また「週末の喫茶代は平日の1.7倍」だそうだ。
昭和時代に人気だった「ティーサロン」は健在だが、かつてほどの勢いはない。その理由としてフードビジネスコンサルタントの永嶋万州彦さんは「もともと紅茶を好むのは女性が多かったが、働く女性が一般的となり平日の昼間に紅茶でゆったり……という生活習慣も減った」と指摘する。働く女性の増加と比例するように、コーヒー好きの女性も増えた。
ワインに似てはいるが、高級コーヒーの価格や敷居はワインほど高くはない。カフェや喫茶店で高級コーヒーを楽しむ人は、今後もさらに増えそうだ。
経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。