AIのアルゴリズム構築にかける時間は全体の10%

では、課題を適切に設定できたとして、実際の作業では何にどれくらいの時間をかけたらいいのだろうか。

実は、私たちが支援するケースにおいては、AIのアルゴリズム構築自体にかける時間はそれほど多くない。すでにコモディティ化が進んでいる領域でもあり、時間の割合にするとプロジェクト全体の約10%ほどだ。残り20%はシステム構成の検討、残り70%はAIアルゴリズムを実際のビジネスに落とし込むためのビジネスプロセスの検討や現場とのコミュニケーションに費やされている。

ビジネスプロセスに人が介在しないケース、例えばウェブ上で「おすすめの記事・商品」を表示するレコメンデーションシステムの構築であれば、現場とのコミュニケーションは限定的でもよいのかもしれない。

しかし、AIのアウトプットに基づき、実際にビジネス現場の人々を動かす必要のあるプロジェクトでは、ビジネスプロセスの丁寧な検討や現場とのコミュニケーションが極めて重要となる。それが足りなかったために、構築されたAIが活用されずに放置されるという状況は多数発生している。

また、ビジネスプロセスを検討する際の重要なポイントは、データが自然に蓄積される仕組みを事前に組み入れて構想することだ。これによって参入障壁が築かれ、永続的な優位性構築につながるからである。